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◎青峰と黒子 (2012/10/16)



赤←黒←青
報われてないです、黒子も青峰も
後味悪いかもです










馬鹿じゃねぇの、テツ。
しゃがみこんでうなだれている小さな水色をそう罵った。いつものようにうるさいですガングロ、なんて返ってこなくて代わりに小さな声でどっか行ってください、と聞こえる。そんな声で言われても行けない、と思った。テツは俺がその声に弱いのを知ってて多用するんだから、本当、酷い奴だ。

「…あのなー」
「どっか行ってください、なにも言わないで」

お願いだから。小さな水色は揺れていて、俺のその体を見ているだけ。いつからテツはこんなに弱くなったのだろう。赤司が好きだと言い始めたときだろうか。
報われないですけどね、って言ったテツがなんだかすべて分かったような表情をしていて、諦めているようで諦めきれてないような、そんな自分さえも分かっている、そんな様な表情だった。人の気も知らないで、よく自分だけ不幸みたいなこと言えたもんだ、そのときは軽くあしらったのを覚えている。でもあのときからテツはテツじゃなくなった。人間なんらかのきっかけがあると欲張りになるらしい。ある日テツは赤司に告白した。そして玉砕した。覚悟はできてたので、なんて言ってたがそんなの嘘だと自分でも分かる。テツに苛ついていた。一度玉砕したくらいで諦めるなと、俺の気持ちはどうなるんだと、言ってやりたくて仕方なかった。ただ、もっと苛ついたのは赤司に振られたと聞いて一瞬でも喜んだ俺自身だ。

「消えてください、はやく、ほんとに」
「行かねーよ」

しゃがみこむテツの隣に座り、ゆっくりと壊れものを扱うように優しく背中を撫でる。テツはなにも抵抗せずに、ただただ黙っていた。テツの肩が微かに揺れているのが分かった。

「っ、やめて、ください。じゃないとボク、勘違いしますよ?」

弱くなったテツ。脆くなったテツ。傷ついたテツ。テツをこんなふうにした赤司は許せないけれど、こうしてチャンスをくれたのは感謝していたりする。こんな形で言うなんて、卑怯極まりないけど。

「いいぜ」

テツは驚いたのか赤くなった目を大きく開けてこちらを見る。頬には涙の流れた跡が残っていて、その傷のような跡にそっと触れる。

「勘違い、しちまえよ」

テツには傷ついてほしくない。こんな形で告白とか、したくなかったけど、どれだけ俺の心がズタズタになるか分からないけど、もうこれ以上、テツの傷つく顔を見たくないんだ。

「俺に縋れば」

俺は心の奥の部分が締め付けられたような気がしたけど、見てみぬ振りしてテツを抱き締めた。



まだにすがるのかい



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