小話 | ナノ


◎黒子と赤司 (2012/08/13)






「赤司君」

黒子は愛しい恋人の名前を呼ぶ。
呼ばれた恋人の赤司は不服な顔をしてこちらを見て、これまた不服そうに返事をする。

「なんだい」

今の状況を説明すると赤司は黒子に所謂壁ドンされている訳で、本来は赤司が黒子に壁ドンをするのが通常の彼等であってこの様な状況は非常に稀なのだ。いや、もしかしたら今が初めてなのかもしれない。

「テツヤ、どいてくれないかな?」
「嫌です。君のそんな顔久しぶりに見たのでもうちょっと見ていたいです」

にや、と笑う黒子は歪む赤司の表情をまじまじと見ている。黒子の表情は、いつになく嬉しそうだ。

「…テツヤ、いい加減にしないと怒るよ?」
「その体勢でですか?」

赤司の体勢と言えばただの壁ドンではなく黒子によって両手を自身の頭上で拘束されている。

「…っ」
「ふふ、こちら側もいいものですね」
「うるさい離せ」

赤司が少し本気になって言い返すと、黒子は驚いた様子で赤司を見る。

「…それなら、」
「え」
「君の方がボクより力はあるんですから無理やり解けば良いでしょう?」

黒子がそう言うと赤司はまた不服そうな顔をして黒子から視線を逸らす。

「………」
「どうしたんですか?」

赤司は小さく舌打ちして勢いよく黒子を見る。力強い視線で。
赤司は不思議そうに顔を傾ける黒子を見ながら考える。
結局自分たちは変わらないし変われないのだ。黒子が赤司の前にいたって、赤司か黒子の前にいても、所詮思うことはただ一つ。それを言わせようとするか言わされるだけの違い。

「…テツヤは僕がそんなことできると思うのかい」
「いいえ」
「…だったら分かるだろう、離せ」

ばつが悪そうにまた黒子から視線を逸らす赤司。表情を隠すためか俯いていて、顔は見えない。しかし赤くなった耳で全てが台無しだ。

「…すみません。少し意地悪し過ぎましたね。ボクばかり君を好きなような気がしてならなくて君に言葉で言って欲しかったんです」

拘束されていた赤司の手から黒子の手が離されて、赤司はほ、と安堵の息を漏らす。

「そんなに嫌でした?」
「いや、驚いただけだ」

赤司はゆっくりと手を下ろし、また安堵の息を零す。黒子はそんな赤司を見てにや、と笑う。

「…では、君に最後の意地悪をします」

赤司が驚きの声を漏らす暇もなく黒子が素早く赤司の唇を奪う。呼吸を根こそぎ奪われるような口づけに、赤司は声をあげようとして唇を開くと待っていたと言わんばかりに黒子の舌が赤司の口内に入ってくる。
赤司は酸素が足りなくなった頭で少し考えて、仕方ないのでこの意地悪に乗ってやることにする。
もっと深く、なんて恥ずかしくて言えないから黒子の制服の袖を強く掴むことでそれを伝えた。





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只今蓮は深刻な赤司不足です
誰か蓮と赤黒、黒赤について語って下さるお優しい方はいませんか。いませんか…?



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