小話 | ナノ


◎赤司と黒子 (2012/07/22)

「赤司君の髪は綺麗ですね」

ぽつり、と腕の中にいるテツヤが急に言い出した。
テツヤは僕の髪を触るのが好きだ。
こうやって抱き締められているときも、情事のときも、よく僕の髪を触る。

「…なんだい、急に」
「いえ、いつもサラサラですし、良い匂いがするし、手触りも良くて……だ、大好きなんです」

言い終わるとテツヤは赤い顔を隠すように僕の肩に頭を乗せる。

ああ、本当にもう。

「…ふっ」
「な…笑わないで下さい」

テツヤは、可愛い。

「すまない、あんまりテツヤが可愛くてつい…」
「…馬鹿にしてるんですか」

むす、とむくれたように言うテツヤ。
こんな顔も可愛いと思う自分は
もう末期だ。

「…テツヤ」
「……なんですか」

少し遅れて返事をするテツヤ。

「よく聞いて、テツヤ。
 僕はテツヤの全てが大好きだよ。その瞳とか、赤くなる顔とか、僕を呼ぶ声も全て……全部、僕のものだ」

そう言ってテツヤの瞼にキスをする。

ほら、そうやってすぐ赤くなるから、つい苛めたくなるんだ。


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