||| plus alpha 「――雪はいい」 はらはら、と白が舞い落ちる。 白い天使とも、白い悪魔とも例えられる白い花弁がゆっくりと世界を塗り替える様は幻想的でさえある。 凍りついたような空気をわずかに揺らす呼気に至るまで白く染まる中、彼は独り、立ち尽くしていた。 ぱたり、と下ろした指先から滴る生命の赤が寸の間純白の世界を汚すが、すぐに降りしきる雪に覆われて見えなくなる。 ――大地に転がる他のモノと同じように。 鈍色の空から舞い落ちる白い雪は、赤黒い大地も物言わぬ死体も、罪でさえも平等にただ覆い尽くしていく。 まるで全てをなかったかのように景色を塗り替えるその白はまさしく「無」の色。 ゆっくりと変わっていく景色を身じろぎもせず、彼は見つめている。自らの所業が、罪が純白に覆われて見えなくなるのを、ただ静かに。 こちらに背を向けた姿はまるで彫像のようで、刺すように冷たい空気を揺らす白く濁った呼気だけが彼の生を伝える。 ああ、戦場に降る雪のなんと優しく残酷なことか。 彼の黒い髪、聖衣の肩にさえ無情にも積もっていく雪。 決して払われることのない白はきっと自分も白雪の中に消してくれ、という彼の願望。 「雪は、いいな」 ぽつり、とこぼれ落ちるその音は誰に宛てたものなのか。 さくり、と音を立てながら近づいてその身体から雪を払い落とす。抱き締めた身体から伝わるのはお互いが纏った聖衣の冷たさだけ。それが無性に哀しいと感じるのは、何故なのか。 覗き込んだ黒瞳に宿る、白い無の色彩。 「戻るぞ」 かけた言葉に応えはなかったけれど、掴んだ腕が振り払われることがないのが今の自分にとって唯一の救いだった。 † パロではないけれど、イメージ元は『ハーメルンのバイオリン弾き』のサイザーさんになります と、いってもわかる人の方が少ないと思いますけどねー そこそこ前の漫画なんですが、個人的にはかなりお気に入りの漫画です よくも悪くも印象に残ってる漫画でして 一応、ギャグなんですがたまにまじるシリアスとのギャップとか ギャグ部分のぶっ飛び具合とか 今でもたま〜に読みたくなります 補足しておくと、 彼=シュラ 独白(地の文)=デスマスク のつもりで書いていましたが、その辺はよく考えてないです← 要は、シュラって雪とか似合いそうだよね、冬生まれだし☆みたいなことが言いたかっただけです 間違っても、今書いてるリアシュラエロが詰まったから現実逃避がてら書いたわけじゃないですよ? エロの難しさを痛感しつつ、書いてはいますが完成するのはいつになるのか… January 23, 2013 08:33 back |