「この間さ、ハンジと2人で街に行ったの」
「ああ」
「可愛い髪留めとかアクセサリーとか見てきゃっきゃしてたんだけど、」
「買ったところで付ける場面ねぇだろうが」
「そう!そうなの!レジまで持っていって、あれ?これ、いつ付けるの?って2人で気付いてさー!買わないで店出てきたよー」

広間に響く、笑い声。
最近リヴァイとはすれ違いの毎日で、こうして2人で話しをするのは本当に久し振りだった。
くだらない内容だけど、話が尽きる事はない。

「...もうこんな時間か」

時計を見つめるリヴァイに心臓がどくんと脈を打つ。
うそ、もう0時過ぎてる...。
かれこれ3時間は話し込んでいるということか。信じられない。
伸びをしながらソファーを立ち上がるリヴァイをじっと見つめる。

...この後、私の部屋に来ない?

ごくんと唾を飲み込む。
まだ一緒にいたい。けど、そんな台詞、恥ずかしくて言えない。
リヴァイが「ああ」と頷いてくれるような、ごく自然な誘い方はないだろうか。
頭の中で考えを巡らせているうちに、いつのまにかリヴァイは扉に足を向けている。
ああ、駄目!行っちゃう...!

「なあ、」
「ねえ、」

互いの言葉が混ざり合う。
扉の前で振り向くリヴァイとソファーから立ち上がる私。

「...なんだ?」
「リヴァイこそ、なに?」

ドキドキと心臓が鳴る。
もしかして、リヴァイも私と同じこと考えてたり...する?
じっと瞳を見つめていると、リヴァイが視線を逸らした。
伏し目がちに、ぼそりと口を開く。

「...まだ眠くないなら、仕事手伝え」

まさかの台詞にきょとんと目を見開く。
...今から、仕事?
...リヴァイ。いくらなんでも、それは、

「...いい。今のは忘れろ」

バツの悪そうな表情を浮かべながら、口元を抑えるリヴァイにぷっと吹き出してしまった。
...なんて酷い誘い方。
普段は何かと強引な癖に、リヴァイも意外と恥ずかしがり屋らしい。

「しょうがない!手伝ってやるか!」
「...いい。今すぐ帰れ」
「なんでよー!手伝うってばー!」

スタスタと足速に歩くリヴァイの背中を追い掛ける。
私達の夜は、まだまだこれからだ。




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