「…リヴァイ、今までありがとう」
「…」
「…私が死んでも、悲しまないでね」
「…」
「…間違っても、追い掛けて来ちゃダメ「悲しまねぇし、追い掛けねぇから安心して死ね」
「酷いっ!」

病人に言う台詞じゃないよ…!
布団の中でしくしくとベソをかいている私の横で、つっこむ気も起きねぇ、とイライラしながらタオルを絞るリヴァイ。
風邪だけど…!ただの風邪だけど…!
目の前はぽやーってするし、熱いのになんか寒いし、身体中の節々は痛いし。
風邪ってこんなに辛かったっけ?

「…本当に死んじゃいそう」
「さっさと死ね」
「…普通、そんなこと言う?」

ぴしゃり。額に乱暴に乗せられたタオルに顔をしかめる。
ずれてる。目に掛かってるってリヴァイさん。
冷たくて気持ちいいけど、もう少し優しく乗せてくれたっていいじゃない。

「…ほんと酷い」
「うるせぇな。看病してやってるだけありがたいと思え」
「…お願いだからもっと優しく接してくれませんか」
「してんだろうが」
「…してない!」
「いいからさっさと寝ろ、馬鹿」

私の名前、馬鹿じゃなくてアイルです。
ずれたタオルを面倒くさそうに直しながら、私を見下ろしてくるリヴァイをじとーっと睨み付ける。
…あ、いいこと思い付いた。

「…何しやがる」
「うつしてやる」

スカーフをくいっと引っ張り、にやりと笑う。
一瞬、目を見開いたリヴァイの唇に容赦なくかぶりついた。
風邪がどれくらい辛いか、思い知らせてやる。



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