「無理はしないでね」 「ああ」 「やばいと思ったら、すぐに逃げなきゃ駄目だよ」 「ああ」 「本当に分かってる?」 ブーツを履きながら、適当に相槌を打つリヴァイに、少しだけ声を強めた。 心配で心配で堪らない、私の気持ち、少しは分かって欲しい。 「…心配するな」 「するよ!」 自分よりも何メートルも、何十メートルも大きい巨人を相手に戦うのに、心配しない訳がない。 リヴァイの力量は分かっている。 そう簡単に死ぬような人ではない。 だけど、 「お願いだから、生きて帰ってきてね」 リヴァイは、私のたった一人の愛する人。 絶対に失いたくはない。 リヴァイの頭にコツンと額を乗せ、小さく呟いた。 「…帰りは2週間後だ」 「…うん」 「飯と酒、用意して待ってろ」 「…うん」 自然と目頭が熱くなるのは毎回だ。 いつだって、壁外へと送り出す瞬間は胸が苦しくて仕方がない。 「行ってくる」 触れるだけのキスをして、リヴァイは立ち上がった。玄関を出て行く彼の後ろ姿を見つめながら、「行ってらっしゃい」と静かに手を振った。 どうか無事で、と願いを込めながら。 |