最近、ナマエがモテているらしい。
何かの冗談だろと思っていたが、ついさっき、ナマエが男に告白されている場面を目撃した。
深々と頭を下げていた所を見ると、どうやら振ったようだが………ちっ、面白くねぇ。


「なんだいリヴァイ?舌打ちなんかしちゃって」


ハンジが口元をニヤニヤさせながら、横目で俺を見てきた。


「…別に」
「ふーん?ぼさぼさしてると、可愛いナマエが他の男に取られちゃうよ」
「…うるせぇ」


クソ眼鏡の足を思い切り踏みつける。
ぎゃあああ!!!と声を上げ、踞るハンジを放置し、自室へと足を向けた。

ナマエとは長い付き合いだが、浮いた話は一度も聞いたことがなかった。
なにより、あいつは俺に気がある筈だ。(まあ、強がってそんな素振りは見せないが)
だが、それも今までの話。
あいつのことだ、男がわんさか群がる今、浮き足立って訳の分からない男に引っ掛かる可能性もないとはいえない。
…畜生。苛々する。






◇◆◇






「リヴァイ、いるー?」


ナマエが報告書の提出に、俺の部屋を訪れた。
ナマエの顔を見た瞬間、さっきの光景が頭に浮かび上がる。


「なに?機嫌悪いの?」


自然と眉間に皺が寄っていたらしく、ナマエが怪訝な顔で俺を見つめてきた。


「?はい、これ頼まれてた報告書」


ナマエが書類を机の上に置いた瞬間、ナマエの腕を掴んだ。


「!?」


目を丸くするナマエをそのままぐっと引き寄せる。
髪が揺れ、ふわりと甘い匂いが漂ってきた。
掴んだ腕の柔らかい感触もそうだ。
ナマエが女だと感じさせた。
このまま唇に喰らいついてやろうかと思ったが、気持ちを抑え、頭をぐしゃりと撫でた。


「…ナマエ」
「ななな、なに!?」
「…間違っても、男なんて作るんじゃねぇぞ」


目を見つめながら、低く呟く。
遠回しだが、俺にとっての念押しだ。
気付くかどうか微妙だが………ああ、気付いてるな。


ナマエの顔がみるみるうちに赤く染まっていく。
こんな顔、今まで見たことがなかった。
瞳を潤ませ、唇をぎゅっと噛み締めている。


「な、なんでリヴァイにそんなこと言われなきゃいけないのよ!!!!!!」


意味分かんない!!!と、俺の手を振りほどき、バタバタと部屋を去っていった。


(…心配する必要は無かったか)


頬杖を付きながら、自然と口端が上がった。
瞬間、嫌な視線を感じ取る。
扉に目を向ければ、ハンジが隙間からにやにやした顔で覗いていた。


「…テメェ、」


睨みをきかせると、ハンジが、バレちゃったか!と舌を出しながらずかずか部屋の中に入ってきた。


「リヴァイさー、いくらなんでも遠回しすぎるよ。あ、はい書類」
「………」
「腕引っ張って引き寄せたならさ、キスくらいしなよ!そんで、俺の女になれ、くらいはっきり言わなきゃさあ!!!!!」


…こいつ、最初から見ていやがったな。


「リヴァイもナマエもいつになったらハッキリするのかね?ほんと見ててイライ…って、うおおお!?リヴァイ、ストップ!!ストップ!!!!!」


ソファーにドカッと座りながらペラペラと語るハンジの元へ、手の骨を鳴らせながら近付いた。
なんで俺がこいつにアドバイスを受けなきゃいけねぇんだ。
調子に乗りやがって。
鈍い音とハンジの痛々しい叫び声が、館内に響き渡った。





◆◇◆





(リ、リヴァイに頭ぐしゃってされた!!!それに、リヴァイがあんなこと言うなんて…遠回しに告白みたいなもんだよね!?そうだよね!?うわああああ、どうしよう!!!!!!)



「好きです、付き合ってくだ「ごめん、無理」
「(は、はやっ…!軽っ!)」



本日2度目の告白を受ける中、もはやリヴァイのことで頭がいっぱいのナマエでした。




なうさんへ^^




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