ナマエと2人、書庫で必要な文献を探していた。
しん、と静まり返った書庫内で、さっきから何故かナマエがそわそわしている。


「どうした?」


声を掛ければ、ナマエがどきりと肩を上げた。


「いや、その…」
「なんだ?」
「ひ、久しぶりに2人っきり…ですね」


俯きながら、俺の服をきゅっと握りしめるナマエ。
思いも寄らないナマエの行動に、心臓が鳴った。


同じ班にいながらも、最近は会議やらデスクワークやらで忙しく、ナマエに構ってやれていなかったことに、こうなってやっと気付いた。
普段はまったく甘えてこないナマエだが、余程、寂しかったのだろう。


「ナマエ」


名前を呼べば、ナマエがゆっくりと顔を上げた。
ほんのり色づいた頬と潤んだ瞳。
頬に手を添え、距離を詰めた。


「構ってやれなくて、悪かった」


頬に添えた手を滑らせ、耳元の髪をかきあげながら、噛み付くように唇を重ね合わせた。
静まり返った書庫内に、2人の荒い息遣いだけが響き渡る。


「へいちょ、」


ゆっくり唇を離すと、ナマエがぎゅっと胸に顔を埋めてきた。
ナマエの頭に顎を乗せ、はあと深く息を吐く。


「我慢させて悪かったな」
「…大丈夫です」
「寂しかったか?」
「…今のキスで吹っ飛びました」


俺を気遣ってか、ナマエは決して寂しいとは言わなかった。


「…部屋に、戻るぞ」


仕事なんてもはやどうでもいい。
今すぐ、ナマエを滅茶苦茶に愛してやりたい、そう思った。
荒々しく、ナマエを抱き上げる。


「きゃっ!へ、へいちょ…仕事は!?」
「そんなことより、お前を放って置きすぎて、他の男の所に行かれたらたまんねぇ」


そう呟けば、ナマエが驚いた表情を浮かべた。
が、段々と頬が赤く染まっていく。


「…私、愛されてますね」
「伝わってなかったか?」
「…正直、ちょっとだけ不安でした」


だから、そう言ってもらえてすごく嬉しいです、と俺の首にぎゅっと腕を回してきた。


「どれだけ放って置かれても、私には兵長しかいませんよ」


愛してます、と柔らかく笑うナマエに、柄にもなく口元が緩んだ。
これからは、もっとナマエを大切にしてやらなきゃいけねぇな、と思いながら、もう一度触れるだけのキスを落とした。



悠さんへ^^







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