「リヴァイ、ここ間違ってるよ」 「直しとけ」 「やだ」 「直せ」 「無理」 さっきから一枚の書類がリヴァイとアイルの間を行ったり来たり。 向かい側に座っているエルヴィンが、そんな2人を見て小さく溜め息を吐いた。 「いい加減にしないか」 仕事が進まないだろう、と呆れた声を出すエルヴィンに、2人はぴたりと口を止める。 が、納得はしていないらしく、アイルがぶうっと頬を膨らませた。 「リヴァイが悪いんだよ。自分のミスを人に直させようとして!ね!エルヴィンもそう思うでしょ?」 「そんくらい黙って直すのが普通だろ。いちいち人のミスを指摘しやがって。性格わりぃ」 「性格悪いのはリヴァイじゃない!」 「てめぇだ」 「なんだと!」 まったく、兵団内のナンバー1とナンバー2には思えないくらい、くだらない言い合いだ。 もう止めても無駄か、とエルヴィンは2人に構わずペンを走らせた。 「前から思ってたけどさ、リヴァイって身長も小さいけど心も小さいよね」 「…あ?」 「身長はもはやどうしようもないから、せめて心だけは大きくしたら?」 「黙れ、ブス」 「…今なんて言った!?」 ガタン、と立ち上がり、アイルがリヴァイの胸ぐらを掴んだ。 が、リヴァイは怯む様子もなく、またアイルに向かって「ブス」と吐き捨てる。 「…リヴァイ、アイル。もういい、部屋に戻れ」 口喧嘩ならまだしも、書類が山積みになった部屋で殴り合いの喧嘩は勘弁して欲しい。 この2人に手伝わせようとした自分が馬鹿だった、と小突き合いながら扉に向かう2人の背中を見つめ、頭を掻くエルヴィンだった。 |