買い出しの途中ですれ違うカップル。
このくそ暑い中いちゃいちゃくっつきながら歩く姿を見て殺意が湧いた。


「ねえ、リヴァイ」
「なんだ?」
「あのカップル、殺してきていいかな?」
「…」


私は生まれて2×年、一度も彼氏が出来たことがない。これだけ彼氏がいないと、カップルを見ても「羨ましいなあ」なんて思わなくなってくるものだ。逆に「幸せそうな顔しやがって」と殺意が湧く、とても残念な女になってしまった。


「…可哀想な女だな」


リヴァイが隣でぼそりと呟く。自分で分かっていても、流石に他人から言われると気分が悪い。ムカつく。しかも彼女のいないリヴァイに言われたくない。リヴァイだって私と一緒で可哀想な男じゃないか。


「彼女いないリヴァイに言われたくないね」
「俺は別に恋人なんて欲しくない」
「私だって欲しくないよ」
「顔に欲しいって書いてあるぞ」
「書いてない!」


ギッと睨み付ければ、リヴァイが少し口角を上げた。なぜこのタイミングで笑うのか?馬鹿にしてるとしか思えない。そんなことを思っていると、リヴァイが突然私の手を取った。指と指をするりと絡めてくるリヴァイに一気に体温が上昇する。


「本当は、こういうことがしたいんだろ?」
「ちょ…!!し、したくないよ!はなして!!」
「手汗、ヤバいぞ」
「―うるさい!もう、はなしてよ!!!!!」


ぶんぶんと手を振りほどこうとしてもがっしり絡めてきているため、離れない。リヴァイが慌てる私を見て楽しんでいる。こんな楽しそうな顔は見たことがないってくらい。…この男は、とんでもないドSだ。


「おい、アイル」
「なによ…」
「飯奢ってくれたら、キスしてやってもいいぞ」
「だから、したくないってば!!!!!!!」



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