「会議に行ってくる。夜には戻る」
「いってらっしゃい!お気を付けて!」


とびきりの笑顔で、兵長を見送った。
玄関がパタンと閉まったのを確認し、思いっきりガッツポーズをつくる。



「っしゃあ!!!!兵長夜まで戻んないって!!!!どうする!?なにする!?」


久々の同期だけ(+エレン)の時間に何をして遊ぼうかテンションが上がる。


「私、街に行きたーい!」
「俺も!」
「俺も!」
「俺も!」
「よーし!決まりっ!」


久々の街だ!と、わいわい身支度をする中、取り残されているのが約一名。


「…み、みなさん、いいんですか?」


エレンが一人おろおろしていた。


「「「「「なにが?」」」」」
「兵長にバレたら…殺され「バレなきゃいいんだよ!バレなきゃ!」


こんな時じゃないと、日頃のストレス発散できないでしょ?とエレンの肩をポンと叩いた。


「…は、はあ」
「新兵は黙ってうちらについて来ればいーの!」


さ、行くよ!と先陣をきり、玄関を勢いよく出た。


「ペトラー、とりあえずオープンしたばっかりの雑貨屋があるらしいんだけど、そこ行くー!?」
「ああ、そうだな。そこに行こうか、アイル」



…あれ?
ペトラの声が…なんか…低い?



背筋につう、と冷や汗が流れた。
恐る恐る振り返る。




「うわああ!!!へへへ、へいちょー!!!!!!!!!」



兵長が、玄関横の壁に腕を組みながら寄り掛かっていた。
な、なんでいるの?
会議に行ったんじゃなかったの!!??
みんなの顔が一瞬にして青ざめる。


「…お前ら、いつも俺の目を盗んで遊び回ってるのか?」
「いえ!!そんなことは!!!」
「あるだろ」
「ありません!」
「…首謀者は誰だ?」
「エレンです!(きっぱり)」
「「「「(アイル、ひでぇ)」」」」
「エレンが兵長いないし、遊びに行くチャンスですよ!って私達に囁くんですよ!」
「アイルさん!俺、そんなこと言ってないじゃないですか!!!!」
「黙りなさい!これだから新兵は!」
「はあ!?俺に濡れ衣着せないで下さいよ!!!!」
「…オイ、少し黙れ」


兵長に首根っこをぐいりと掴まれた。


「ぎゃあ!なんで私!?」
「こんなこと考えるのはお前しかいない。エレンになすり付けるな」
「ち、ちがっ!街に行きたいって言ったのはペトラですよ!」
「アイルでーす」
「ペトラ!!!お前マジふざけんな!!!」


仲間にも裏切られ、ずるずると引きずられて行く。


「いやあああ!!離してえ!!!」
「無理な話だな」
「どこに連れて行くつもりですか!?」
「ハンジの所だ。ちょうど、実験台を探していたみたいだからな」
「なんの!?なんの実験!?」
「知らん」
「ぎゃあああ!!助けてええ!!!!」


身の危険を感じ、ペトラ達に向かって必死に手を伸ばすも、みんなが「いってらっしゃい」と手を振っている。


「…う、裏切り者おおぉ!!!!」


エレンに罪をかぶせたバチが当たったのだろうか。
このあとハンジ分隊長に実験という名の拷問を一日中受けました。



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