「…また、2人になっちゃいましたね」



仲間が眠る場所にそっと花を添えるアイル。
ああ、と静かに呟く。



壁外に出る度に失う班員。
その度に、人員を補充され、また尊い命が消えていく。
その、繰り返しだった。




アイルだけだった。
俺の班で、もうずっと何年も生き残っているのは。




「リヴァイ兵長」
「なんだ」
「私は、死んでいった仲間のことを絶対に忘れません」





手を合わせ、目をつぶりながら震える声で呟くアイルに、俺も隣で手を合わせた。





「みんな、いい子達でしたね」
「…ああ」
「兵長」







「私は………兵長を残して、死んだりしませんから」






だから、そんな顔しないでください、と俺の顔を見ずに呟くアイル。





アイルは分かっていた。
仲間を失う度に俺の心をぐるぐると渦巻く悲しみを。



俺は分かっていた。
仲間を失った悲しみを糧に生き延びようと必死に剣を振るうアイルの姿を。





ひゅう、と風が駆け抜ける。
未だ仲間に手を合わせるアイルの頭を何も言わず、ぐしゃりと撫でた。




アイルの頬に、一筋の涙が伝う。
それに気付かない振りをしながら、アイルと二人、死んでいった仲間達に祈りを捧げ続けた。



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