リヴァイ班になってから、数週間が経ち、みんなとも段々打ち解けてきた。この数週間で分かったこと―それは、リヴァイに対する忠誠心と信頼が厚いことだ。勿論、仲間同士の信頼も強かった。そんな中に入った、私とエレンが仲良くなるのも時間の問題だった。

「エレンって、ほんと、皮剥き上手いよね」

夕飯用のじゃがいもを2人で並んで剥いていた。女とは思えないほど不器用な私とは違い、エレンはするすると器用に剥いていく。

「アイルさんが、下手くそなだけですよ」
「うるさいな!…リヴァイにも何度言われたことか」
「兵長は、上手いんですかね?」
「勝手に俺の名前出してんじゃねぇよ」

機嫌の悪い声が後ろから聞こえ、私とエレンはドキッ!と体が跳ねた。振り向くとそこには腕組みをしたリヴァイが立っていた。

「ハッ、こんなの出来ねぇ奴、アイルくらいしかいねぇだろ」
「またそうやって馬鹿にする!」

リヴァイが私の手からじゃがいもを取り、するすると剥き始めた。その姿がやけに懐かしくて、一緒に過ごした訓練兵の頃の記憶が頭を過った。胸がズキンと痛む。私は、思わず目を伏せてしまった。

「兵長、スープの味みてもらえませんか?」

キッチンから聞こえたペトラの声で我に返った。ああ、とリヴァイがペトラの元に向かって行く。ふと、ペトラと目が合った。勝ち誇ったような、薄い笑みを浮かべている。

(馬鹿らしい)

フッと、何事もなかったかのように顔を反らした。リヴァイ班に来た初日に感じた違和感は、当たっていた。ペトラは、何故か私に対抗心を燃やしている。別にリヴァイを自分の物にしようとだなんて、これっぽっちも思っていないのに。



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