旧調査兵団本部には、既に他のリヴァイ班のメンバーが集まっていた。リヴァイに連れられてきた私に、視線が集まる。
「アイル・ヒューグリッドです。よろしく」
軽く挨拶をした後に、一人ずつと握手を交わした。エルド、グンタ、ペトラ、オルオ、顔は見たことがあったが、名前までは知らなかった。多分、向こうも同じだと思う。最後に握手を交わしたのがエレンだった。化け物扱いされていた割には、ごく普通の男の子だと思った。巨人化出来るなんて本当なのだろうか。
それよりも、さっきからみんなの視線が気になる。明らかに私に不信感を抱いているようだ。まあ、突然知らない奴がメンバーに入ってきたんだ。当たり前の反応か。
「あ、リヴァイ」
私の部屋は何処か聞こうとリヴァイの名前を呼んだ瞬間、空気がピリッと変わった。みんなの眉間に皺が増え、睨み付けられた。
「…何?」
私を警戒するのは勝手だが、睨まれるのは腹が立った。スッと目を細め、私も睨み付けた。
「オイ、アイル。落ち着け」
リヴァイが私の肩をグッと掴む。
「は?なんで私?喧嘩ふっかけてきたのは、そっちなんだけど」 「お前がキレると面倒だからだ」
…確かにそうだけど。いくらなんでも、これから行動を共にしようとしている仲間に手を出す筈がない。
「…お前、さっきから生意気だぞ!」 「そうよ!立場をわきまえなさい!」
オルオとペトラが物凄い剣幕で、食って掛かってきた。瞬間、ああ、そういうことかと理解した。リヴァイと顔を見合わせる。
「…お前ら、こいつは俺の同期だぞ」
親指で私を指すリヴァイに、みんなの表情がみるみる青ざめていく。
「し、失礼しましたっ!!!」
オルオが全力で頭を下げてきた。そんなに童顔でもないんだけどな、と思いつつ、別にいいよと宥めた。
「まさか兵長と同期だったとは、」
エルドも睨んでしまい、すみませんでした、と頭を掻いている。
「ガキみてぇな面してるからな」 「チビに言われたくないんだけど」 「あ?お前喧嘩売ってんのか?」 「はいはい、ごめんごめん」
私とリヴァイのやり取りに、周りの空気が和んだ。そんな中、ペトラだけ浮かない顔をしているように見えたのは、私だけだろうか。
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