調査兵団に入ってから、死を考えなかったことは、一日もない。 だけど、それは自分自身の話であって、愛する人が死ぬなんて考えたことがなかった。 いや、考えることが怖かったんだ。 目の前に広がる赤い水溜まりが、リヴァイの血であることは確かだった。 その中心に、うつ伏せで倒れているリヴァイを見付けてしまったから。 震える体を落ち着かせ、私はリヴァイを抱き上げた。 「なんであんたが死ぬのよ」 目に溜まった涙で、リヴァイの死に顔がよく見えない。 ペトラ達が駆け寄ってくるも、私の耳にはもう、何も聞こえなかった。 この世界には、今、私とリヴァイの2人だけしかいないような、そんな気がした。 |