「だから、言ったのにー」

私の背中には、酔い潰れた人類最強が乗っている。
酒豪のハンジに飲み比べをふっかけられ、対して飲めもしないくせに、挑んだ結果がこれだ。

背中に感じる熱い体温が、人類最強と言えど、リヴァイもやっぱり人間なんだな、と感じさせる。

「リヴァイさーん。今、巨人が攻めてきたらどうすんのよー」
「……ぶっ、ころす!」


後ろで両腕をバタバタさせるリヴァイは完全にただの酔っ払いだ。
っていうか、もはや呂律が回ってない。

「…きもちわり、」

暴れたせいで、よけいに酔いがまわったのか、私の肩に顔を乗せ、おとなしくなった。

「もうちょっとで着くから、我慢して」
「……早く、ある、け」
「うるさい!おぶってやってるだけ、有難いと思いなさい!」

小柄だといえ、リヴァイは男。
筋肉質な体は、結構重い。

やっとの思いで部屋に辿り着き、リヴァイをベッドに放り投げた。

「てめ、ふざけ、んな」
「はいはい、いいからおやすみー」

頭をポンポンと叩き、部屋を後にしようと思った瞬間、

「…悪かった、な」

腕を掴まれた。
うつ伏せになったまま、顔を少し私の方に向け、潤んだ目でポソリと呟くリヴァイ。

「珍しく素直じゃん」
「…もう、寝る」

ぷいっと、顔を反対に向ける。
なんだこいつ。めっちゃ可愛い。

「明日早いけど、起きれる?」

私の問い掛けに、すーっ、という寝息が聞こえ、掴んでいた手がするりと落ちた。

これは明日起こしに来た方がいいな。
普段の仏頂面からは想像ができないくらい可愛い寝顔を目に焼き付けてから、私は部屋を後にした。



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