「アイルさんって、いつもいい匂いがしますね」

隣から、ふわりと漂ってくるいい匂いに、思わず口に出てしまった。
食器を洗うアイルさんの手が止まる。

「…口説いてる?」
「いや、そんなつもりは!」

慌てる俺の顔を見て、アイルさんは少し顔を緩ませ、また手際よく食器を洗い始めた。

「エレン」
「は、はい」
「可愛いって言われるより、嬉しい」
「…そうですか」
「女の扱い上手いね」
「えっ!俺はただ、本当の事を言っただけです!」
「ふふ、冗談だよ。ありがと」

これ、拭いて片付けておいてね、とエプロンで手を拭きながら俺の後ろを通り去るアイルさんからは、やっぱりふわり、といい匂いがした。



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