「リヴァイが死んじゃったら、私、生きていけないかも」

燃え尽きた仲間たちの骨を拾いながら哀しそうに笑うアイルの姿を見て、似合わねぇ。ただそう思った。
俺があいつらに喰われたとしたら、「兵長のくせに、なに喰われちゃってんの?」と、鼻で笑いながら馬鹿にする。それがお前だろうが。

そんな哀しい顔は似合わねぇ。というか、見たくねぇ。

「アイル」
「…なに?」
「お前が俺より先に死んだら、そのダセェ死に顔、目に焼き付けてやる」
「…うわ。それ、マジで屈辱的」
「俺も同じだ」
「は?」
「てめぇに、ダセェ死に顔なんて見せる気ねぇんだよ」
「…ははっ。じゃあ、私より先に死ねないね」
「ああ」
「私もリヴァイより先に死ねないし」
「ああ」
「つまりは、巨人を絶滅させるまでお互い死ねない、ってこと?」
「…やっと気付いたか、グズ女」

アイルが仲間の骨をギュッと握り締めた。
さっきまで沈んでいた瞳に、光が宿る。

「さっきの言葉、忘れて」
「あ?」
「リヴァイが死んだら生きていけない、とか自分キモすぎる」
「ハッ、それがお前の本音だろ?」
「あー…もう。最悪」

リヴァイが先に死んだら、絶対鼻で笑ってやる、とふてくされるアイルを見て、いつもの調子に戻ったな、と柄にもなく安堵している自分がいた。
やっぱり、弱々しいお前なんて似合わねぇ。
その手に握りしめてる仲間の分まで、俺達が死ぬことは許されねぇんだよ。
燃え尽きた仲間達を見据えながら、先の見えない明日へと戦い続けることを改めて心に誓った。



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