「アイル」
「ん、」

兵長と付き合いだしてから分かったことがひとつ。
兵長はとってもキスが好きだということ。
潔癖症なことは分かっていたし、スキンシップはあまり取れないだろうな、と思っていた私にとって、凄く嬉しい発見だった。
でも、2人きりになると、何処にいようが関係無くキスを求めてくる兵長に少し困っていたりもする。

「んっ、ぁ…」

やばい、今日は激しいキスだ。
何度も角度を変えながら、唇を重ね合わせてくる。
無意識に逃げてしまう舌をしつこく絡めてくる兵長の舌使いに意識が飛びそうになった。

が、慌てて胸を押し返す。
だって、今は、

「…なんだ?」
「そ、掃除中ですよっ、」

そう。掃除中なのだ。
2人きりだといっても、いつ誰が清掃終了の報告をしに来るか分からない。

「…大丈夫だろ」
「だ、だめですっ」

目を細めながら迫ってくる兵長に、頭がくらくらした。…ああ、もうほんとカッコいい。キスをする直前、いつも兵長は愛しそうに目を細める。その顔が堪らなく好きだった。こんな顔、私しか知らない。そう思うと全身がぞくぞくしてくる。頭では駄目だと思いつつ、スッと目を閉じ、唇を兵長に委ねた。




◇◆◇




―休憩中

「オイ、エレン。コーヒー…どうした?」
「い、いえ。ちょっとぶつけてしまって」

エレンの鼻にティッシュが詰めてある。どうやら鼻血が出たらしい。

「わー!エレン大丈夫?」
「だ、大丈夫です」

アイルの顔を見た瞬間、顔を赤らめ目を反らすエレン。
そんなエレンを見て、アイルは不思議そうな顔を浮かべたが、一方でリヴァイはピンときたらしい。

「ふん、グズが(…チッ、見られたな)」
「…すいません(あんた達があんなことしてるからっ!)」



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