今回の壁外で、私の班は全滅した。私以外、全員死んだ。

「…何度、立ち上がればいいのかな」

独り言のように、ぽそりと呟いた。リヴァイは何も言わなかった。いや、何も言えなかったのかもしれない。

「…シャワー、浴びてくる」

重い空気が漂う中、今にも泣いてしまいそうになった私は、逃げるようにシャワー室へと向かった。



あと何回、何十回、何百回壁外に出れば巨人は絶滅するのか。
その度に、何人、何十人、何百人仲間が死ぬのだろうか。
足掻いた所で、巨人を絶滅させるなんて無理なのかもしれない。
生き延びる度に、仲間を失う数が増えていく理不尽な現実に、胸が引き裂かれそうだった。

「…う、うぅっ、畜生、畜生、畜生!!!」

行き場のない憎しみと哀しみを拳に込め、泣きながら、何度も何度も壁を殴り付けた。

「…ち、くしょ、う、」

もはや感覚は無くなり、力なく、ずるりと拳が落ちてゆく。壁には、血の跡がべっとりと残った。
俯く頭から、シャワーの水が溢れる涙と一緒に滴り落ちていく。


ガチャリ、とシャワー室のドアが開いた。
顔を上げ、涙でぼやける目線の先にいたのは、リヴァイだった。
声が聞こえてしまったのだろうか。
立ち尽くすリヴァイの表情は、とても哀しげに見えた。

「…リ、ヴァイ」

震える唇で、名前を呼んだ瞬間、私に駆け寄り、息が出来ないほどに、きつく抱き締められた。
私の中にある絶望を受け止めてくれるかのように。
だけど、それだけではないような気がした。

どんなに絶望に打ちひしがれても、私達は、立ち上がらなくちゃいけない。
そんなの、分かってる。

だけど、リヴァイだって本当は苦しいんでしょ?
辛いんでしょ?
哀しいんでしょ?
ねえ、リヴァイ。
口には出さなくても、こんなにきつく抱き締められたら、痛いくらい伝わってくるよ。

胸が苦しくて、苦しくて、また涙が溢れ出てきた。
隊服を着たまま、ずぶ濡れになったリヴァイの体を、その思いに応えるようにきつく抱き締め返した。



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