「…アルミン」 「どうしたの、アイル?」 「調査兵団に入ってから、毎日夢を見るの」 「どんな?」 「…私の目の前で、みんなが巨人に喰われていく夢」 消え入りそうな声で呟くアイルの肩は、小刻みに震えていた。 「毎日、一人ずつ喰われていくの。一昨日は、サシャ。昨日は、ジャン。今日は………」 続きを言う代わりに、アイルは顔を上げ、僕の顔を見た。 今にも泣き出してしまいそうな彼女を、僕は気付くと抱き締めていた。 「ア、アルミン。怖いよっ…」 「大丈夫だよ。僕はここにいる」 アイルを残して死ぬはずないよ、なんてかっこいい言葉が言えれば、アイルの不安は無くなるだろうか。 だけど、アイルを守れるくらいの強さを持っていない僕の口からは、そんな言葉、嘘でも言えなかったんだ。 |