恋人と思われる遺体の前で泣き喚く仲間の姿を見ても、まったく理解できなかった。 (それを覚悟で調査兵団に入ったんだろうが) くだらない、いつもそう思っていた。何の覚悟もないまま、人を愛すなんて馬鹿げている。 反対に、俺の隣ではいつも、その仲間の姿を見て涙を流すアイルがいた。そっと、仲間の肩に手を添えて、まるで自分のことの様に悼むのだ。 「リヴァイにも、いつかきっと分かるよ」 決まって、いつもそう言った。俺にはそんな気持ち、分からない。多分、一生。 そう思っていた。 アイルが死ぬまでは。 …覚悟なんて、あってないようなものなんだな。 なあ、そうだろ?アイル。 アイルの遺体を前に、俺の頭にはあの時の言葉が鳴り響いている。 |