バターたっぷりのトーストにスクランブルエックとウインナー。
独身時代の朝食はいつもこのメニューだったのに、今テーブルの上に並んでいるのは、炊きたての白いご飯と卵焼きと納豆とわかめのお味噌汁。
リヴァイと結婚して、初めての朝。
いつも通りの食べ慣れた朝食を用意した私に、リヴァイは不機嫌そうに眉を顰めた。
俺はご飯派だ、とぼそりと呟きながらパンを頬張るリヴァイに「やってしまった!」とあわあわした自分を今でも昨日のことのように思い出す。
それからというもの、我が家の朝食は和食に定着した。
「リヴァイー!7時だよー!」
階段の下から2階に向かって声を上げる。
私が起こさなければ、リヴァイはいつまでも寝ているのだ。
私と結婚する前は、どうやって起きてたんだろ...と疑問に思ったりもしたけど、本人いわく「寝坊はしたことがない」らしい。
つまり、起こしてくれる人が出来た今、リヴァイは私に甘えているのだ。
ほんの些細なことだけど「ああ、幸せだなぁ」と思う瞬間が度々ある。
それは、朝からお味噌汁の味を確かめている時、リヴァイのワイシャツとハンカチにアイロンを掛けている時、「いってらっしゃい」と玄関先で見送る時。
大好きな人の奥さんになったんだなあ、と実感し、口許が緩んでしまう。
そんな私を見て、リヴァイは「気持ち悪ぃ」と冷たい視線を浴びせてくるけど、リヴァイだって私みたいに思う瞬間がきっとあると思うんだけどな。
だって、目覚ましを掛けなくたって、毎朝起こしてくれる人がいる。
リビングに降りてくれば、テーブルの上には出来上がった朝食。
ネクタイを締めて貰い、玄関先でお見送り。
独身時代には絶対に無かった日常だ。
「おはよ、リヴァイ」
「...朝っぱらから、何にやにやしてんだ」
「やばっ。顔に出ちゃってた?」
両手で頬を覆う私を華麗にスルーして、リヴァイか椅子に腰を降ろす。
「ねー。なんでにやにやしてたか聞いてよー」
「聞きたくない」
「そんなこと言わないでさー。あのね、リヴァイの奥さんになれてよかったなあって思ってたの」
「...そりゃ、良かったな」
ぶっきらぼうな声色。
伏し目がちに、ガサリ、と新聞を広げたリヴァイの顔が新聞に隠れて、よく見えない。
「...リヴァイ?」
「なんだ」
「 ...もしかして、照れてる?」
「あ?照れてるわけねえだろ」
「新聞で、顔隠してない?」
「隠してねえよ」
「じゃあ顔見せて」
「うるせぇな。俺は今真剣に読んでんだよ。邪魔するな」
何が真剣に読んでる、だ。
4コマ漫画しか読まない癖に。
「誤魔化したって無駄だよー!」
バサッと新聞を取り上げる。
そこには少しだけ口角が上がったリヴァイがいた。
お返事(^ω^)