ベルトルトが作ってくれるカレーは、自分で作るカレーよりも100倍美味しい。
それはきっと、隠し味にベルトルトの愛情が込められているからだと思う。
そんなこんなで、おかわり2杯目。
「おかわり!」
「はいはい」
ちょっと待ってて、と皿を受け取り立ち上がるベルトルト。
これじゃあ、どっちが彼女なんだか分からない。
「どのくらい食べられる?」
「大盛り!」
スプーンを高く掲げ、声を張り上げる私にベルトルトは小さく笑う。
よそってきたカレーは、私がちょうど食べ切れるくらいの絶妙な盛り具合だった。
さすがベルトルト。
私の胃袋まで、把握してくれてるのね。
「今日は、大学早く終わったの?」
「ううん。今日から、春休み」
「ふーん...って、え!?春休み!?」
「うん、春休み」
思わず、スプーンを持つ手が止まる。
こっちは休みを返上されてまで働いているのに、春休みだと!?
「ベル、ずるい!」
「ずるいって...学生だから当たり前だろ?」
「わかってるけどさあ!私なんて、今度の土曜日も出勤になったんだよ!」
ベルトルトは何も悪くないのに、声が荒くなる。
八つ当たりなんてしたくないのに。
それもこれも、全部ストレス社会のせいだ。
「...だから、今日はご飯を作って待ってたんだ」
「え?」
「なまえ、毎日頑張ってるの分かってるから」
優しく笑い掛けてくるベルトルトに目頭がじんわりと熱くなる。
...なんて、優しい彼氏なんだ。
私の方が年上なのに、子供みたいに八つ当たりして。
なのに、ベルトルトは嫌な顔一つせず、包み込んでくれる。
「ベル、もう大好き!!!!」
隣に駆け寄り、飛びついた。
2人一緒にぼすんと床に倒れ込む。
「大袈裟だなぁ」
大袈裟じゃないよ。
ベルトルト以上に彼女思いの優しい彼氏なんて、世界中のどこを探してもいない。
「ベルー」
「ん?」
「食器洗いもよろしくね」
「はいはい」
ここぞとばかりに甘える私に、やっぱりベルトルトは眉を下げながら笑った。
お返事(^ω^)