調査兵団に入ってから、何人仲間が死んだだろう。
名前を覚える前に死んでしまった人も数知れない。

「……兵長、辛いです」

また今日も、消えていった尊い命。
上半身しかない、仲間の遺体をぎゅっと抱き締めた。

「アイル、立て」
「……もう、立てません」

降りしきる雨の中、抱き締めた仲間の血と、私の涙が入り交じる。
雨のせいで冷えたのか、それとも世界に絶望したのか、体が小刻みに震えた。

「アイル」

力強く名前を呼ばれ、私は顔をゆっくりと上げた。

「お前がいなかったら、もっと多くの仲間が死んでる。お前がいるからこそ、救われた命があることを忘れるな」

そう言って、私の前に差し出された右手。


多すぎる仲間の死によって、限界寸前だった私の心が、彼の言葉によって救われた。

兵長の手を、ぎゅっと力強く握り返し、立ち上がった私はもう一度この世界に立ち向かうことを決意した。



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