1人は楽だが、孤独は怖い。
でも、誰かと関わるのはもっと怖い。

エレンはこんな暗く歪んでいる私にも、親しげに話し掛けてくる。
誰も私に近寄らないのに、エレンだけは違った。
適当にあしらっても、毎日毎日話し掛けてくるのだ。そんなエレンに私の心は少しずつ揺らいでゆく。

「アイルはあんま笑わないよな」

せっかく可愛いのに勿体無い、と言うエレンの目は腐ってると思う。

「…なんで私に構うの?」

ミカサやサシャやアニ、可愛くて綺麗な子なんていっぱいいるのに、なんで私にそんな台詞を吐くの?

「だって、構って欲しいって顔してる」
「…そんな顔してない」
「してるって」

エレンの瞳が私を捉えた。
ああ、この眼に私の全てを見透かされている。

「1人で居たって、何もいいことねぇぞ」
「…そうかもね」

本当は、ずっと誰かに構って欲しかったのかもしれない。
自分でも気付かなかったのに、エレンは感じ取っていたんだ。

「あー、腹減ったな」

ほら、行くぞ、と私に差し出す手に、そっと自分の手を添えた。

「早く食わねぇと、サシャに取られちまう」
「ふふ、そうだね」

「あ、やっと笑った」

自然と溢れた笑みを見て、エレンは“やっぱり可愛いじゃん”と、私に笑いかけた。



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