買い出しの帰り道、夕陽が私達を照らす。秋独特の乾いた空気が私は大好きだった。隣にはエレンがいて、少しにやけてしまう自分がいる。 買い物袋を持つ手が冷たくなってきた。指先がじんじんするな、と思っていたら、エレンが持ってやる、と私の手から買い物袋を取った。 「ありがと」 「ああ。…それにしても、さみぃな」 エレンは鼻をずずっとすすると買い物袋を右手に持ちかえ、左手で私の手を握り締めた。 「エ、エレン?」 「…黙ってろ」 ぎゅっと握る力が強くなった。エレンの顔を見ると、少し赤いような気がする。夕陽のせいかもしれないが、なんだか心がキュンとした。 「ふふっ。…エレンの手、あったかいね」 「アイルの手が冷たすぎるんだろ」 「あっ、誰かに見られたらどうしよ」 「見せ付けとけ」 そうだね、と私は笑って、指を絡ませた。厳しい訓練の中のちょっとした幸せ。このまま時間が止まってしまえばいいのに、と思いながら2人で帰り道をゆっくりと歩いていった。 |