梓×棗 R18



棗は僕に触れるとき、いつも少しだけためらう。

もっと甘えて欲しいのに

もっと棗に求められたいのに

このままじゃ、少し目を離したら棗がどこかに行ってしまいそうで怖いんだ。

ねえ、棗…?

どうか僕から離れないでね。

棗が居なくなったら、僕はきっと…心から笑えなくなるから…――。


深夜1時過ぎ―。

棗にどうしても触れたくなった僕は、棗の部屋に向かっていた。

「…梓。どうしたんだよ、こんな時間に。」

チャイムを鳴らすと棗はすぐに顔を見せてくれた。

戸惑っているような、驚いているような、そんな表情で僕を見つめる棗に僕の胸は小さく痛んだ。

棗の頬に手を伸ばすと、棗の肩がびくっと揺れた。

それと同時に棗の頬が赤く染まっていくのが解り、僕の頬は綻んでいく。

「…棗にどうしても会いたくて。迷惑…だった?」

「…迷惑じゃねえよ。俺も…梓に会いたかったから。会いに来てくれて…嬉しい…。」

そう言って笑う棗の笑顔が可愛くて、僕は思わず棗の唇を塞いだ。

互いの唾液を吸い合うような濃厚な口付けに、棗の唇からは甘い吐息が漏れていく。

「んっ…んんッ…あず、さ…そういう事、するなら…部屋に入ってからにしろよ…っ…ったく…。」

「…ふふ、そうだね。ごめん…照れてる棗が可愛くて、我慢できなかったんだ。ずっと棗に触れたかったから…。」

耳元で甘い声で囁くと、棗は頬を真っ赤に染め何も言わずに僕を部屋に上げると後ろ手で扉を閉めた。


部屋に入ると、どちらからともなく唇を重ねた。

棗の咥内を堪能しながら、棗の着ている服を器用に脱がせていく。

乳首をキュッと摘むと棗の身体がビクンと揺れ、棗の唇からは徐々に甘い声が漏れ始める。

「んぁっ…!ひ、ぁっ…ん…は、ぁ…っ…!梓…!」

「乳首を弄られただけでこんなにエッチな声を出して…棗は本当に淫乱だね?」

「やっ…言わないで…ん、ぁ…っ…ひ、ぁっ…あ、ぁ…っ!」

乳首に舌を這わせる度に淫らな声を上げる棗に、僕は堪らなく欲情してしまう。

「ねえ、棗…こっちも弄って欲しいんじゃない?もうこんなに固くなって震えているよ…?」

棗の欲の塊に舌を這わせると、棗の身体がびくんと跳ねた。

根元から扱き上げながら先端を舌先で突くように刺激すると、棗は切なげに眉を寄せ艶めかしい嬌声を上げた。

「ん、ぁっ…!ひゃぅっ…!は、ぁっ…!あず、さっ…!も、出る…ッ!」

「もう…?仕方ないな…いいよ、僕の口の中に出して…?」

絶頂を促すように亀頭を甘噛みすると、棗は両脚をガクガクと震わせながら僕の咥内に熱い欲を迸らせた。

僕はそれを一滴残さず飲み干すと、棗の達したばかりでヒクヒクといやらしく蠢いている秘部に舌を這わせていく。

指で押し拡げ中に舌を挿し込み舐め解していくと、再び固く張り詰めていく棗自身に僕の興奮は高まっていく。

「ひ、ぁっ…あ、ぁっ…!梓……も、挿れて……俺…梓が欲しい…。」

瞳を潤ませながら僕を欲しがる棗が愛おしくて、僕はそっと棗の頬に唇を寄せた。

「僕も…ずっと、棗が欲しかったよ…ずっとこうして、触れたかったんだ…。」

僕は棗の腰を掴むと、ゆっくりと棗の中に自分の熱く昂ぶっている欲の塊を埋め込んでいく。

「あぁっ…!は、ぁ…っ…ん、ぁっ…!ぃ…あっ…!あずさ…っ…!あ、ぁ…ん、ひぁっ…!」

激しい律動の最中、僕はずっと棗の手を握っていた。

最奥を突く度に、僕の手を強く握り返してくる棗が愛おしくて仕方ない。

「…棗の中、僕のをこんなに締め付けて…棗がこんなに僕に挿れられるのが好きだったなんて知らなかったな…。」

棗の耳元で囁くように呟くと、棗は顔を真っ赤に染め濡れた瞳で僕を見上げて呟いた。

「…仕方ないだろ。俺は梓が好きなんだから…梓に挿れられたら、たまらないよ…。」

「…っ!棗……そんな可愛い事言われたら、僕…っ…!」

棗の可愛過ぎる言葉に、僕は僅かに残されていた理性が完全に崩壊していくのを感じた。

僕は律動のスピードを急激に速めると、棗自身を右手で包み込み強弱を付けて上下に擦り上げていく。

「ぁんっ!ひぁっ!あっ…んぁっ!梓っ…そんなに激しくされたら、俺…っ…!イッちゃ…う、ぁっ…あ、んぁぁっ…――ッ!」

「棗…っ…愛してるよ、棗……っ…ッッ!」

棗は一際切なげな嬌声を上げると、身体をビクビクと震わせながら自身から半透明な滴を放ち僕の胸に擦り寄るように抱き付いてきた。

その直後に僕の興奮も最高潮に達し、棗の中に熱い欲の証を注ぎ込むと棗の身体を強く抱きしめその橙色の髪に優しく唇を寄せた。


「なあ、梓…今夜は…このまま抱き締めていてくれないか…?」

棗の声が微かに震えているのが気になって、僕はそっと棗の頬に触れた。

「…棗が僕に甘えてくれるのって珍しいね。いいよ、抱き締めていてあげる。」

棗を抱き締める腕に力を込めると、照れたような笑みを浮かべ僕の胸に顔を埋めてくる棗が愛おしい。

「梓…これからもずっと…俺の傍に居てくれる?」

棗が顔だけを上げ僕に問い掛けてくる。

棗は素直じゃないから、俺の傍に居てくれ、とは絶対に言わない。

素直じゃないだけじゃなくて、きっと棗は僕に対していつも不安を抱いているんだろう。

その不安をどう伝えたらいいか解らなくて、僕に触れるのをためらっている。

棗のそんな不器用なところも、僕は愛おしいと思う。

でも、たまには棗からも甘えて欲しいと思うのは僕の我儘かな?

「…棗は、僕に傍に居て欲しい?」

棗の髪を優しく撫でながら問い掛けると、棗は頬を真っ赤に染め小さく頷いてくれた。

「……傍に居て欲しいに決まってんだろ。恥ずかしい事、言わせんなよ…ったく…。」

「…ふふ。嬉しいな。もう、絶対に離れないよ。ずっとずーっと棗の傍に居る。だから、棗も…僕から離れないでね?」

そっと棗の気持ちを窺うようにそのアメジスト色の瞳を覗き込むと、答えの代わりに甘い口付けが降ってきた。

啄むような甘いキスに体温が上昇する。

もっと棗を感じたいと、僕の心が叫び出す。

棗の乳首に指を滑らせると、棗の腰がぴくんと揺れた。

「ん…ぁ、や…もう、だめだって…梓…っ…。」

「だったら…せめて棗の触らせて。棗のイク顔見ながら一人でするから。」

「な…っ…何言って…!そんなのやだ…!俺も梓の触るから…二人で気持ち良くなろう…?」

頬を真っ赤に染めながら提案してくる棗に僕もつられて頬を染めると、棗と向かい合う体勢でベッドに座り込んだ。

棗の指が僕自身に這わされると、僕は思わずびく、と身体を揺らした。

棗自身を包み込み上下に擦り上げていくと、先端からは先程よりも更に透明度が増した先走りの滴がトロトロと溢れ出し僕の指に絡みついていく。

その何とも言えない卑猥な光景に、僕の興奮は膨れ上がっていく。

「なつ、め…っ…ん…だめだ…我慢できない…もう一回挿れさせて…?」

「んぁっ…ひ、ぁっ…!あず、さ…っ…もう…好きにして…?俺は梓のものなんだから…ッ…。」

我慢できずに棗に問い掛けると、棗は小さく頷き熱を帯びた視線を僕に向けてきた。

「うん…そうだね。じゃあ、棗……うつ伏せになって、お尻突き出して。」

「…二回目でその体位は辛いものがあるぞ…梓…。」

不満気に呟きながらも素直に従う棗が可愛くて、僕は棗の背中にキスを落とした。

そっと棗の細い腰を掴むと、先程僕が放った精液で滑りが良くなっている棗の秘部に自身を宛がいゆっくりと腰を沈めていく。

「棗…っ…繋がってる部分から…いやらしい音がしてるの、解る…?」

「あ…っ…ん、やっ…はぁ、ん…っ!そんな事…わざわざ口にするなよ、恥ずかしいだろ…っ…!」

腰を激しく打ち付ける度に棗の中が淫らに僕自身を締め付けてくるのが堪らなく気持ち良くて、僕は夢中で棗の温もりを求め続けた。




君を好きになればなる程、君を失う事が怖くてたまらなくなる

君がどこにも行かないよと言って笑ってくれれば、それだけで僕の心は幸せでいっぱいになる

だから、ずっとずっと僕の隣に居てね

僕のこの手をずっとずっと離さないで居て欲しい

だって、僕は君の愛を知ってしまったから

君の優しい温もりを知ってしまったから

今更、手放すなんて無理だよ

だから、どうか。

「どこにも行かないでね、棗…。」

「…俺、ずっと梓の傍に居るよ。だから心配すんな。」

そっと僕を抱きしめてくれる棗の温もりが優しすぎて、僕の瞳からは大粒の涙が流れ落ちる。

「うん…棗、ありがとう。大好きだよ…。」

「…ああ。俺も梓が大好きだよ。」

棗が傍に居るから、僕は笑っていられる

棗が居ないと、それだけで悲しくなってしまう

だから、これからもずっと棗の傍に居させて。

棗の傍で、笑っていたいんだ。

できるなら、永遠に…。

どこにも行かないで
(愛すれば愛する程、君が離れていくような気がして怖かった)

end.






唐突に梓棗が書きたくなったので書きました。二回もしてるのにこの短さ…頑張ったつもりなんだけどなあ。
バックの体位を今まであまり書いた事がなかったので書いてみたけど、表現難しくて挫けそうになりました…(笑)
このお話は「棗は素直じゃないから、疑問形で遠回しに甘えそうだよね」という自分勝手な妄想をぶち込めたので書いてて楽しかったです!
読んで頂きありがとうございました。皆さんに少しでも気に入って頂けたら、嬉しいです。

素敵なお題はloop様よりお借り致しました。ありがとうございました。



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