祈織×風斗 R18


どんな愛の言葉より、僕は君が僕の傍にずっと居てくれるという確証が欲しい。

僕が一番怖いのは、君の心が離れていくことだから。

でも、君はいつだって言葉を欲しがるね。

自分からは滅多に言ってくれない癖に、僕には甘い言葉を言わせたがる意地悪な君。

好きなんだ、誰よりも。

愛の言葉くらい、何度でも言ってあげる。

だから、どうか…僕を一人にしないで…――。



「おかえり。ねえ、風斗。好きだよって言ってみてくれないかな?」

仕事が終わり帰宅すると、待ち兼ねていたように祈織が僕の目の前に現れた。

祈織の突然のおねだりに、僕の頭には幾つもの疑問符が浮かんだ。

「…は?何、突然?勉強のしすぎで頭おかしくなったんじゃないの?」

「ふーん…演技では言えるのに、本当に好きな人には言えないって…そう解釈してもいいのかな?」

祈織の冷たい笑顔に、僕の背中はぞくりと粟立った。

「…もしかして、ドラマの相手役の子に嫉妬してるの?」

「当たり前でしょう?風斗は僕のものなんだから…。」

祈織の細い腕が、僕の冷え切った身体を強く抱き締める。

その温もりに、涙が出そうになるのをグッと堪えて心を込めて囁いた。

「祈織……好き…大好きだよ…。」

「ふふ、風斗…今日は素直なんだね。可愛い…。」

「…う、うるさいな!いつもは素直じゃないみたいに言わないでくれる?」

「僕はどんな風斗でも、大好きだよ?…ねえ、風斗…僕の部屋に、来ない…?」

耳元に祈織の熱い息がかかり、僕は小さく身を捩らせた。

唇で優しく耳朶を甘噛みされると、甘い声が僕の唇から漏れていく。

「…ん…ッ…ぁ…祈織…っ…。」

「風斗…早く答えないと、ここで襲っちゃうかもしれないよ…?いいの?」

祈織の唇が鎖骨に触れ、強く吸い付かれる。

真っ赤に残った痕に、優しく口付けられ、愛おしさともどかしさで胸が熱くなった。

「…行くに、決まってるだろ…。僕は祈織が好きなんだから…。」

きっと、今の僕の顔は酷い事になっている。

顔が耳まで熱くなって、もう頭の中はこれからされる淫らな事で埋め尽くされている。

祈織の部屋に向かうエレベーターの中、祈織は僕の手をずっと握っていてくれた。

"放さないよ"と言っているような気がして、僕の胸は震えた。




祈織の部屋に着き、ドアを閉めた瞬間に激しいキスが降ってきた。

薄く唇を開くと、すぐに祈織の熱い舌が咥内に滑り込んでくる。

舌を撫でるように舐められ、僕の下半身は徐々に固く膨張してきてしまう。

「…風斗…キスだけで感じてるの?もうこんなに固くして…本当に風斗はエッチな子だね…?」

乳首を撫でるように弄りながら、もう片方の手で僕の昂りに服越しに触れてくる祈織に、僕の興奮は膨れ上がっていく。

「んっ…ぁ、は…ぁ、ん……っ!祈織にだけしか、こんな風になったりしないよ…。だから…もっとちゃんと触って…?もっと…僕を愛して…?」

涙目で祈織を見上げると、祈織は一瞬切なげな表情をした後、そっと僕の身体をベッドに押し倒し僕の上に跨ってきた。

僕の履いているジーンズのジッパーを下ろし下着ごと脱がせると、形を確かめるように握り込んでくる祈織に、僕は我慢できなくなり祈織の手のひらに熱い欲を放ってしまった。

「…風斗のイク顔、そそられるな…それに…段々脚が開いていってる…舐めて欲しいの?」

僕の精液でべとべとになった指を愛おしげに舐める祈織に、僕の鼓動は速くなっていく。

「ん…舐めて…?気持ち良くして…っ…。」

誘うように両脚を大きく開き、再び固くなり出している自身に指を這わせると、祈織は喉仏を上下に動かしゆっくりと僕の股間に顔を埋めた。

裏筋から先端まで丹念に舐め廻した後、根元から扱きながら先端を口に咥え舐める祈織の姿に、僕は堪らなく興奮した。

熱い粘膜に覆われる感覚が堪らなく気持ち良くて、僕は瞳から涙をぽろぽろと溢しながら自身へ与えられる快感に身を委ねた。

「すごいな…舐めても舐めても溢れてくる…風斗のいやらしい蜜……駄目だ…もう我慢できない。風斗と一つになりたくて仕方ないよ…。」

「我慢なんか、しないでよ…。僕だって、祈織が欲しいんだから……。ね…早く、頂戴…?」

熱い視線を祈織に向けると、祈織は僕の熱くなってヒクついている秘部にそっと指を滑り込ませてくる。

「ねえ…風斗。風斗にこんな事をできるのは、僕だけだって思ってもいい…?」

不意に祈織の手が止まり、僕は思わず祈織の顔を見つめた。

その瞳には薄っすらと涙が浮かんでいて、僕はそっと腕を伸ばして祈織の身体を抱き寄せた。

「…当たり前だよ。僕は祈織だけのものなんだから。だから、そんな不安そうな顔しないでよ。僕には祈織しか居ないんだよ?だから…迷わないで、僕を愛して…祈織…。」

「うん…僕も風斗だけのものだよ…もう、ずっと前から…風斗だけを愛してる…苦しいくらいにね…。」

祈織が僕の耳元で低めの声で囁いてくる。そして、その囁きと同時に僕の濡れてヒクヒクと収縮している秘部に祈織の欲の塊が静かに埋め込まれていく。

全部入ると、どちらからともなく唇を重ねた。

激しい律動とは異なる甘くてとろけるような口付けに、祈織の愛が込められているような気がした。

「んぁっ…ひ、ぁっ!んっぁっ……!は、ぁ…んんっ…!祈織…いおりっ…あっ…ぁ……っ!奥…きもち…っ…ぃ、あぁっ…!」

「…風斗の感じてる声…堪らないな…僕の背中に両脚を巻き付ける仕種も、絶妙にいやらしくて…ずっとこのままでいたいよ…っ…。」

最奥を突き上げながら恥ずかしい事を囁いてくる祈織を軽く睨むと、祈織は困ったように笑いながら僕の頬を撫でた。

「…いお、り?ん、あっ…ひ、ぁっ!あっぁ……っ!んぁっ…!あっ…ひぁっ!も、だめ…!イッちゃ…ぁっ…んぁ…っ…っ…ひぁぁぁっ…――ッ!」

「風斗…っ!僕もそろそろ限界…一緒に…っ…っく…!」

急に激しくなる律動に、僕は祈織自身をきゅうきゅうと締め付けながら自身から熱い欲を迸らせた。

その後すぐに祈織も僕の中に欲望の証を放つと、僕を思いきり抱き締め、顔中にキスの雨を降らせた。



「ねえ、祈織…もしかして、まだ不安…?」

行為の後、僕を抱きしめて放さない祈織の腕をそっと手のひらで撫でた。

すると、祈織の指が僕の頬に触れ、視線がぶつかった。

真っ直ぐに見つめられ、少し胸の奥がきゅんと切なくなったけど、目を逸らす事はしなかった。

「…不安だよ。風斗はみんなのものだから。でも…こうして、風斗を抱きしめている今だけは…僕だけの風斗だと思えるから、大丈夫だよ。」

そう言って笑う祈織の頬に手を添えると、その頬に優しくキスを落とした。

「…僕の前では、無理して笑ったりしなくていいんだよ。不安になるのは、それだけ僕の事を想ってくれてるって証拠でしょ?僕は…祈織の本心が知りたい。」

祈織の瞳から、一粒の涙が流れ枕を濡らしていく。

僕が祈織の肩を優しく擦ると、祈織は切なげに顔を歪め僕の腰に腕を廻し声を震わせながら一生懸命言葉を紡いでいく。

「……風斗が、僕以外の人に笑いかけたり、甘い言葉を囁いたりしてるって思うと…気が狂いそうになるんだ。風斗の何もかもが、僕だけのものじゃないのかもって…不安になるんだ。」

「…僕が心を込めて愛を囁いたり、心から微笑みかけたりするのは…いつだって祈織だけだよ。好きなんだ…祈織の事だけが。だから…信じていて。お願い…。」

祈織はそれ以上何も言わなかった。ただ、僕を抱きしめる腕の力が苦しい程に強くて、"不安だよ、怖いよ"と言っているようで…僕の胸は張り裂けるように切なくなった。



どんなに愛していても、いつも祈織の傍に居られる訳じゃない。

その事実が、僕らをいつも苦しめている。

不安になる度に、僕を傷つけている気がして怖くなると、祈織はいつも言っている。

でも、僕は祈織になら、どんなに傷つけられても構わないって想うんだ。

疑ってもいい。責めたっていい。だから、どうか…僕から離れないでいて。

「僕…風斗が居ないと、生きていけないかもしれない…。」

「大袈裟だな、祈織は…でも、ちょっとだけ嬉しいかも。」

「…どうして?」

不思議そうに僕の顔を覗き込んでくる祈織の腕をそっと引き寄せ、唇を塞いだ。

「…祈織とずっと一緒に居られる理由になりそうだなって…そう思ったから。」

「…理由なんてなくたって、ずっと一緒に居られるよ。だって、僕は…風斗を手放すつもりなんて、これっぽっちも無いんだから。」

祈織の温かい愛に、僕の胸は締め付けられる。

泣き顔を見られたくなくて、思わず祈織の胸に顔を埋めながら遠慮がちに訊き返す。

「…っ…ぅ…祈織…僕…ずっと、祈織の傍に居てもいいの…?」

「…風斗さえいいなら、僕はずっと風斗と一緒に居たいって思ってるけど…だめかな?」

頬を微かに赤く染めながら問い掛けてくる祈織に、僕は思いきり首を横に振った。

「だめなわけないだろ!あ…えっと…祈織がそこまで言うなら…ずっと一緒に居てあげてもいいよ…。」

「本当?嬉しいな。風斗が傍に居てくれるなら、きっとずっと幸せで居られる気がする。」

僕は祈織が好き。

祈織も僕が好き。

怖がることなんて、きっと何もないんだ。

二人を繋いでいたものは言葉にならない愛でした
(抱き締め合う腕の温もりだけが、君と僕にとっての確かなものだったんだ)

end.



2014年最初の更新は、祈織×風斗のお二人でした。
何だかまとまっているようでまとまっていない。
二人とも何故か泣いてますが一応ハッピーエンドです。
リクエストを放棄してしまって申し訳ないです。
あの中から書けるものは形にしていきたいと思っています。
私の拙い文章で、胸きゅんだったり、切なくなったり、心が温まったり、笑顔になったり…。
様々な形で少しでも楽しんで貰いたい…そんな事を考えながらいつもお話を綴っています。
一人でも楽しみにしてくれている方が居る限り、続けていこうと思っています。
皆さんに少しでも気に入って頂けたら、嬉しいです。



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