棗×椿 R18 瑠姫様リク
*棗がサンライズ・レジデンスに帰ってきていない設定です*
棗は、俺にとって大好きで大事な弟の一人。
ずっと、そう思って生きてきた。
けど、棗がこのマンションを出て行くと知った時…俺は、それは間違いだったと気付いた。
棗が居なくなるなんて、耐えられないと…心のどこかで寂しさや憤りみたいなものを感じた。
この感情の意味から、最初は逃げていた。
俺は、ずっと梓が一番大切だったから…。
でも…もう、逃げたくないよ。
この気持ちを伝えたら、棗は戸惑うかもしれない。
俺のこの想いが…棗を苦しめてしまったとしても
抑えられないんだ…これ以上…
なあ、棗…?
俺は…棗が居ないと、笑っていられないよ…。
「うー…寒っ…やっぱりもう冬なんだな…。」
俺は両手を擦り合わせると、夜空を見上げながら足早に歩く。
時刻は深夜1時を廻ったところで、街の中は人通りも少ないから比較的歩きやすい。
「…棗に逢いたくて来たけど、やっぱり迷惑がられんのかなー…。」
棗にメール…してみようかな…?
そう思い、携帯を見てはポケットにしまうという事をさっきから10回以上繰り返している。
「…着いちゃったし、やっぱり直接部屋行った方が早いよな…ん、そうしよ。」
棗のマンションに着き、そっとエレベーターのボタンを押すと、後ろから良く知っている香りがして俺は咄嗟に振り返った。
「…椿。お前…来るなら連絡しろっていつも言ってんだろ?…?おい…何で、そんな泣きそうな顔してんだよ…。」
「ごめん…っ…ずっと…棗に、逢いたかった…か、ら…。」
思わず棗の服の裾を掴むと、棗はためらいがちに俺の髪に触れた。
「…っ……とりあえず、部屋に上がれよ。こんなところに居たら風邪引くぞ。」
薄暗くてよく見えなかったけど、棗の頬は微かに赤く染まっているように見えた。
「…お邪魔します。棗の部屋久しぶりに来たけど、全然変わってねーのなー。」
「…椿…どうして、突然ここに来たんだ?梓と喧嘩でもしたのか?」
棗の口から梓の名前が出ると、俺は途端に苦しくなってしまう。
「…っ…なあ、棗。今から俺が言う事、冗談じゃないから真剣に聞いてほしいんだけど…いい?」
棗は不思議そうな顔をしながらも、黙って頷いてくれた。
「…椿?どうしたんだよ、黙り込んで…。」
俯いたまま黙り込んでいる俺の顔を覗き込んでくる棗に、胸が締め付けられる。
「……俺…棗が好きなんだ…。だからって、棗に想って貰えるなんて思ってないよ?でも…伝えずに居られなかった。」
「………その言い方は、ずるいんじゃないのか?好きになって貰えなくても構わないなんて、そんな筈ないだろ。綺麗事だろ…。」
「…だったら、好きになってくれんの?俺のものになってくれんの?中途半端に優しくすんなよ…辛くなる…。」
堪え切れずに溢れた涙を、棗の指が掬い取る。ふと棗を見つめると、棗もまた辛そうな顔をしていた。
「…今更、好きとか言われても信じられるかよ…椿は…梓の事しか見ていなかった癖に…俺は……ずっと、お前を見ていたのに…!」
棗は叫ぶように言い放つと、俺の身体を床に押し倒し、強引に唇を塞いだ。
棗の唇が熱くて、俺は固く瞼を閉じた。徐々に深くなっていく口付けに、互いの唇からは甘い吐息が漏れ出す。
「んっ……ふ、ぁ……なつ、め…?」
「俺がどんなに椿を好きだったか、お前は知らないだろ…やっと、諦められたと思ったのに…椿は…一体どれだけ俺を苦しめれば気が済むんだよ…っ…。」
「…棗…っ…ごめん…でも…俺はこの気持ちに嘘は吐けないよ。棗の事を愛しいと思うこの気持ちだけは…棄てたくない…。」
俺の両腕を押さえ付けたまま動こうとしない棗を愛しげに見つめると、棗は今にも泣き出しそうな顔で、俺を見下ろした。
「…俺…お前を抱いてもいいのか?好きで居ても…いいのか…?」
「うん……俺には棗が必要だから…このまま……俺を、棗だけのものにしてよ…。」
涙目で見つめると、棗はゆっくりと俺に覆い被さり、首筋に唇を押し当ててくる。
身に着けていた衣服を一枚ずつ脱がされ、露になっていく肌に棗の細くて長い指が優しく這わされていく。
「……椿にこうして触れられる日が来るなんて…思ってなかった…思ってた以上に、白くて綺麗だ…。」
「んっ…や…恥ずかしいから、そういう事言うなって…何も言わなくていいから…もっと、俺に触れて…?」
耳元で囁くように呟く棗を横目で睨むと、棗は今まで見た事もないような色欲に満ちた瞳で俺を見つめ、乳首に舌を這わせてくる。
そのあまりにも卑猥な舌遣いに、俺の下半身は熱を帯びてきてしまい、俺は太腿を擦り合わせ棗の腕に触れた。
「…椿…すげえ可愛いよ、お前…ここも、もうこんなに固くなってる…興奮してるのか?」
俺の股間に手を当て、そのまま上下に手を動かしてくる棗に、俺の身体はビクッと震え唇からは悩ましげな声が漏れてしまう。
「っんぁ……!っ…してるに…決まってんだろ…?俺は棗の事が好きで好きで…仕方ないんだから…!」
瞳を潤ませながら答えると、棗は一瞬目を丸くした後、寂しげな微笑みを俺に向けた。
「…そんな事言われたら、俺…抑えが利かなくなる…椿をこのままずっとこの部屋に閉じ込めておきたくなる…。」
「……いいよ?閉じ込めても…棗がそうしたいなら…棗と離れる事より、辛い事なんて…何もないんだから…。」
「……椿は…どうしてそんなに…真っ直ぐなんだよ…どうしたらいいか、解らなくなる…。」
戸惑っているのか、恥ずかしいのか、棗は目を泳がせて黙り込んでしまう。
そんな表情も愛おしくて、俺はそっと起き上がると棗を包み込むように抱き締めその頬に優しく唇を寄せた。
「棗は…俺の事を好きって言って、抱き締めていてくれれば、それでいいよ。もちろん…エッチな事も、されたいけど…。」
言った後で恥ずかしくなり、俺は棗の肩に顔を埋めた。
すると、ゆっくりと俺の肩を掴む棗に、俺も自然と棗から身体を離し見つめ合う形になる。
「……好きだ…椿の事が、大好きだ……。だから…俺の近くに居て欲しい。いつも俺の傍で…笑っていて欲しい…。俺には椿が必要だから…。」
「うん……俺も…棗の傍に居たいよ。棗の事…苦しいくらい、愛してるから……。だから…俺に、棗を感じさせて…?棗が欲しいんだ……。」
濡れた瞳でねだると、棗の手がためらいがちに俺の太腿に触れ、そのまま大きく脚を開かされる。
股間に顔を埋め、甘勃ちしている俺自身に舌を這わせてくる棗に、俺の呼吸は乱れていく。
「…いっぱい溢れてくるな…椿のいやらしい滴…。まだ先っぽ舐めただけなのにな。可愛い…。」
「っひぁっ…!棗っ…そこで喋んなよ、出そうになるだろ…っ!」
「出しても別に構わないよ…椿の精液飲みたいし…。」
棗は俺自身を根元から握り込むと、先端を思いきり吸い上げてくる。
突然の自身への強い快感に、俺は我慢できずに棗の口元目掛けて熱い欲を放ってしまった。
「はぁっ…ん、は…ぁ…棗……っ…。」
「気持ち良かった?ここも…もうぐちょぐちょに濡れて震えてるな…椿って…エロイ身体してるんだな。」
棗が俺の濡れて淫らに収縮している秘部に指を這わせ、中は一切弄らずに窪みの周りばかりをいやらしい手つきでなぞってくる。
「ひっ…ぁ、んぁっ……!なつ、め…ちゃんと触って…?…つーか…指だけじゃ、きっと足りない…棗の、挿れて…?」
「っ……椿……!」
棗の両手が俺の両膝の裏側を掴み、秘部に宛がわれる棗の熱い欲の塊に思わず身体が強張る。
すると、そんな俺の緊張を汲み取ったのか、棗が俺の唇に優しい口付けをくれた。
「ん…っ…棗…。」
「…椿。好きだよ…椿だけを、ずっと…想ってた…っ…。」
その言葉と同時に、棗が俺の中にゆっくりと挿入ってくる。
ぐぷぷ、という卑猥な水音を立てながら捩り込まれる棗自身に、俺は堪らなく興奮してしまう。
棗の右手が俺の左手を優しく握る。指を絡めてみると、頬を少し赤らめて優しく絡め返してくれる棗が可愛くて、愛おしくて…涙が溢れそうになる。
激しい律動とは裏腹な、壊れ物を扱うような棗の手のひらが俺を切なくさせる。
棗が俺の最奥を突き上げる度、「愛してる」の代わりに甘い吐息が漏れる。
いつの間にこんなに好きになっていたんだろう。もう、俺の心は棗にしか反応しないような気さえする。
「あっぁ…っ!んぁぁっ!棗っ…!なつ、めっ…!…あっ…い、ぁ…っ!」
「っ…椿っ…!そろそろ限界かも…っ…中に出していいか…?」
「…んっ…うん…っ…いい、よ…俺もイキそう…っ…あっ…は、ぁ…んぁっ…!」
棗の腰の動きが速くなると、俺の嬌声も高く短くなっていく。
「っ…椿…っ……っく…っ!」
「なつ、め…っ…あっんぁぁっ…ひっ、あぁぁぁあっ…――ッ!」
最奥を強く突かれた瞬間、中に棗の熱い白濁を感じ、その刺激にすら感じてしまい俺も自身から半透明な滴を迸らせ絶頂を迎えた。
床に横たわり放心状態の俺の身体を棗が軽々と抱き上げ、ベッドに優しく寝かせられた。
そんなさり気ない気遣いが気恥ずかしくて、俺は棗の胸にそっと顔を埋めた。
このまま時が止まればいいのに…そんなありふれた願いを、繋いだ手にそっと込めた。
「椿…身体、痛くないか?床で襲っちまってごめん…。」
「んーん。全然大丈夫だから、気にしなくていーよ?それよりさ…もう少しくっついてもいい?少し寒いかも…。」
「…ああ。いいよ、もっとこっち、来いよ。椿……キス、してもいいか?」
「…そんなの…拒む訳ないんだから、訊かなくていーよ…いっぱいして?」
棗の唇が俺の唇に触れ、熱い舌が入ってくると、棗以外の何もかもがどうでもよく感じる。
「椿…好きだ…苦しくても、傷ついても、辛くても諦めたくないと思ったのは…椿が初めてだよ…。」
棗が自嘲気味に呟いた言葉が、俺の胸に深く刻み込まれる。
こんなにも、誰かを愛おしいと思ったのは初めてかもしれない。
棗の温もりがこんなに傍にあるのに、胸の奥が痞えるような感覚がする。
愛しいという感情は、必ずしも幸せな感情という訳じゃないのかもしれない。
それでも、俺はもう…棗を愛さずには居られない。
「…椿…愛してるよ。」
「うん…俺も愛してるよ。棗だけを…。」
きみしか見えなくなってもいい
(この世界に二人きりになっても怖くなんかないと、心から思った)
end.
遅くなりましたが、瑠姫様からのリクで棗×椿でした。キスの描写があんまり書けなかったのが今回の反省点です。
でも、素敵なお題のおかげで、色々考えながら書けたので、私としては楽しかったです。
アンケートで切ない系に票が入っていたので少し切なくしてみたんですが、結局最後ラブラブですね。
瑠姫様、リクエストありがとうございました。皆さんに少しでも気に入って頂けたら嬉しいです。
素敵なお題は寡黙様よりお借り致しました。ありがとうございました。
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