棗×祈織 R18


祈織の事を思い浮かべる度、胸が苦しくなるのを感じる。

この痛みは、一体何なんだろう。

この胸の中で膨らんでくる、切ない想いを

俺は、何と呼べばいいんだろう…?




深夜0時…。

残業を終えてマンションに帰ると、エレベーターの前で体育座りの体勢で座り込んでいる祈織を見つけた。

「…祈織!?おまえ…こんな時間にこんな所で、何やってんだよ…。」

慌てて祈織に駆け寄りコートを羽織らせると、祈織は顔をゆっくりと上げ震える声で呟いた。

「…棗兄さんを待ってたんだ。僕…また不安定になりそうな気がしてる。棗兄さん…お願い、傍に居て…?」

不安気に揺れる瞳で見つめられ、俺は少し黙り込んだ後、深く頷き祈織の手を握った。

祈織は少し安心したのか、遠慮がちに俺に抱き付いてくる。

「…祈織。風邪引くから…俺の部屋に行こう?今夜はずっと傍に居てやるから…。」

「…棗兄さん…甘えちゃってごめんね。他に頼れる人が居なくて…要兄さんも、今日は檀家さんの所に行っていて居ないし…。」

祈織の口からかな兄の名前が出ると、急に胸に激しい痛みを感じた。

「…そうか。俺は構わないよ…。でも…祈織は、俺じゃなくても…いいんじゃないのか?」

「…棗兄さんがいいんだよ。僕は…棗兄さんに傍に居て貰いたい。不安なんだ…僕は誰にも必要とされていないような気がしているから…。」

繋いだ指先から、祈織の不安が伝わってくるような気がして、俺の胸は締め付けられた。



部屋に着くと、祈織の身体を強く抱き締め首筋に顔を埋めた。

祈織の真っ白な首筋に吸い付くように口付け、紅い痕を残すと祈織は甘い声を上げた。

「んっ…ぁ、は…っ…棗兄さん…だ、め…だよ…っ…。」

「どうして?祈織だって、感じてるだろ…?ここも尖ってきてる…。」

服の裾から手を滑り込ませ、乳首を撫でるように弄ると祈織は身体をビクッと跳ねさせ切なげな表情で俺を見つめた。

「…んぁっ……!それ、はっ…棗兄さんが、エッチな手つきで触るから…ん、ひぁ…!」

「祈織……そんな表情で、そんな声出すなよ…止められなくなるから…。」

祈織をベッドに押し倒すと、僅かに反応しかけている祈織自身に服越しに触れた。

手を上下に擦るように動かすと、祈織は浅く息を吐き濡れた瞳で俺を見上げた。

「はっ…ぁ、んぁっ……棗、兄さん……っ…僕…変になっちゃうよ……っ…。」

「…まだ、止めてほしいって思ってる?」

自分でも驚くくらい震えた声で訊くと、祈織は耳をぴくんと震わせ、小さく首を横に振った。

「…ううん…もっと…してほしいって、思っているよ…だから…棗兄さん…僕に…もっと、いやらしい事…して…?」

潤んだ瞳でねだられると、俺は我慢できずに祈織の唇に噛み付くように口付けた。

互いの舌を追い合うような熱いキスに、俺の興奮は高まっていく。

「祈織…どうして欲しい?俺に、どんないやらしい事、して欲しいんだ?」

意地悪く訊くと、祈織は頬を真っ赤に染め、俺の手を掴み熱く膨張している祈織自身に触れさせてきた。

「…僕の、ここ…棗兄さんに触って欲しくて、疼いてるんだ…棗兄さんが、落ち着かせて…?」

「…っ…祈織…今のおねだり、すげえ可愛かった…たまんねえ…服、脱がせるからな…?」

小さく頷く祈織の髪に優しく唇を寄せると、祈織の身に纏っている衣服を一枚ずつ剥いでいく。

均整の取れた胸に綺麗に括れた腰、キュッと締まった桃尻…全てが艶めかしくて、俺は生唾を呑んだ。

熱く脈打ち先走りの滴が溢れる祈織自身に舌を這わせると、祈織は小さく身を捩らせ甘い吐息を漏らした。

「ひぁっ…!んっ…んぁ……っ!は、ぁ…っ…棗兄さん…っ…僕…もう、欲しい…っ…!」

「…何が欲しいんだ?ちゃんと言ってくれないと、わかんねえだろ?」

祈織の耳元で囁くように訊くと、涙をぽろぽろと溢し俺を見つめる祈織が愛しくて、俺はそっと祈織を抱き締めた。

「…そんなに僕に恥ずかしい事言わせるのが楽しいの?」

「祈織?怒ってんのか?ごめん…でも…俺、祈織の口から聴きたかったんだ。俺のが欲しいって…。」

「…怒ってないよ?だから………棗兄さんの…大きくて固いの…僕の中に、頂戴?棗兄さんが欲しいんだ…。」

両脚を淫らに開き、体液と先走りでトロトロになっている秘部に自ら指を這わせ誘うように俺を見つめる祈織に、俺の中に僅かに残る理性が完全に消え去っていくのが分かった。

「祈織…!好きだよ…大好きだ…っ…!」

俺は祈織の濡れてヒクヒクと蠢く秘部に熱く昂ぶった自身を宛がうと、ゆっくりと腰を沈めていく。

全部入ると、手を繋ぎ唇を重ね合った。キスをする度、祈織の中が微妙に狭くなるのが堪らなく気持ち良くて、俺は思わず目をギュッと瞑った。

「…なつ、め…兄さん…気持ち良いの…?さっきよりも、大きくなってきたみたいだけど…んぁっ!ひぁっ…!ぁ、ん……っ!」

「祈織…っ…あんまり煽るなよ…っ…気持ち良いに決まってるだろ?…っ…そろそろ、ヤバイ…祈織、一緒に…っ…。」

腰を動かすスピードを速めると、祈織は切なげな嬌声を上げ、俺自身をきゅうきゅうと締め付けてきた。

「んぁっ!ぁっ…!ひ、ぁっ!ぁ…っ…んぁ……っ!棗、兄さっ…ん、ぁっ…!あっ…ぁ……っ!っ、あぁぁぁっ…―――ッ!」

最奥を数回擦り上げると、祈織は自身から熱い精を迸らせ、俺の胸に倒れ込むように抱き付いてきた。

数秒後、俺も祈織の中に欲望の証を放つと、祈織の華奢な身体を優しく包み込むように抱き締めた。




「…なあ、祈織…一つ、頼みがあるんだけど…。」

「…どうしたの?棗兄さん…?」

少し疲れた表情の祈織の髪を優しく撫でると、俺は祈織の瞳を真っ直ぐに見つめて言った。

「…もう、こんな風に傍に居て欲しいって頼るのは…俺だけにして欲しいんだ。…かな兄の所には、行かないで欲しい。」

「…ふふ、もっと解りやすく言ってよ、棗兄さん。」

祈織は悪戯っぽく微笑み、俺の頬に唇を寄せてくる。

「……俺だけの祈織になって欲しいんだよ。祈織の事…愛してるから。」

俺は祈織を抱き寄せ呟くように言うと、そっと祈織の桜色の唇を奪った。

「…ん…だったら…棗兄さんも約束してくれる?僕から離れないって…僕を独りにしないって…約束してくれたら、僕も棗兄さんだけの僕になってあげる…。」

祈織は寂しげな表情で俺を見つめると、俺の胸に顔を埋めた。

耳が赤くなっている事に気付くと、俺は祈織の髪を優しく撫でながら耳元で囁いた。

「約束するよ。ずっと、祈織の傍に居る。絶対に離れないよ…俺が、祈織を幸せにしてみせるよ。愛してる…。」

「……信じてるよ…棗兄さんの事。僕も…棗兄さんの事、愛してるよ。ずっと傍に居てね?」

「…ああ。もちろん…いつまでも祈織の傍に居るよ。嫌って言っても放さねえからな?」

俺にギュッと抱き付いたまま顔だけを上げ、甘えるように上目遣いで見つめてくる祈織に、俺の下半身は再び熱を持ってしまう。

落ち着かせるように祈織を強く抱き締めると、祈織は甘い声を漏らし俺の名前を呼んだ。

「んっ……。棗兄さん…。」

「…祈織?どうした?そんな可愛い声出して…?」

「……棗兄さんに抱き締められると、何だか身体が熱くなってくるんだ…僕、おかしいよね?さっきあんなに抱き合ったのに…。」

濡れた瞳で見つめられると、俺は我慢できずに再び反応し始めている祈織自身にそっと指を這わせた。

「…祈織の…脈打ってる。興奮してんのか?本当に祈織は可愛いな…。」

「やっ…ぁ、ん…!そんな事…言わないで…?恥ずかしいよ…っ…。」

頬を真っ赤にする祈織の額に優しく口付けると、祈織は嬉しそうに微笑った。

そしてその後は、ただ互いの体温を分け合うかのように、朝まで身体を繋ぎ合った。




どんなに苦しくても、どんなに胸が痛んでも、構わないと思った。

祈織が俺に微笑みかけてくれている…

それだけで、俺の心は満たされていく。

遠慮がちに繋がれた君のこの手を

寂しげに微笑う君の笑顔を

俺はずっと、守っていくと決めたんだ…―――。

その笑顔の傍に居させて
(君のその綺麗な笑顔に、俺はずっとずっと、恋をしていたいから)

end.




さく様からのリクで、棗×祈織を書いてみました。
何だか性描写より他の部分の方が長くなってしまって、申し訳ないです…。
サイト無期限休止としましたが、不定期更新という形で再開させて頂きます。
いろいろ悩みましたが、たった一度の中傷で挫けていてはだめですよね。私らしさを大事に、頑張りたいと思います。
リクエストは、一旦受付停止させて頂きます。後で未消化リクエスト一覧の方にも記載しておきます。
さく様、リクエストありがとうございました。皆さんに少しでも楽しんで頂けていたら嬉しいです。



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