風斗×棗 R18


僕は、ずっと棗兄の事が気になっていた。

この気持ちが何なのか、ずっと悩んでいたけど…。

棗兄。僕、やっと気付いたんだ。

僕は、棗兄の事が好きなんだって…―――。



ある日の深夜。

僕は一人マンションを抜け出し棗兄の住むアパートに向かっていた。

目的はたった一つ。

棗兄にこの想いを伝えるために…。

「…結構寒いな…もっとちゃんと防寒対策してくれば良かった…。」

時計をちらりと見ると、深夜1時を廻ろうとしていた。

少し急ぐか…そう思い歩くスピードを速めた時だった。

「…風斗?おまえ、こんな所で何してるんだ?」

ずっと聴きたかった少し低めの優しい声に、僕は思わず目を見開いてしまった。

「…な、棗兄こそ…こんな時間にどこ行ってたんだよ…?」

「何処って…コンビニだけど?煙草、切らしちまってな。…風斗は?散歩…って雰囲気でもないよな…。」

「…棗兄に会いに来たって言ったら…棗兄は困る?」

棗兄のアメジスト色の瞳を真っ直ぐに見つめ呟くと、棗兄は一瞬目を丸くした後、ゆっくり首を横に振り僕の髪を撫でた。

「そんなことないから、早く俺のアパートに行こう?外は冷えるし…風斗が風邪引いたりしたらそれこそ困るよ。」

優しい表情で僕を見つめ返してくる棗兄に、僕の心はきゅんと悲鳴を上げた。


アパートに着くなり、僕は棗兄に後ろから抱き付きその背中に顔を埋めた。

「…風斗?どうした…?」

「…棗兄に会いに来たって言ったでしょ?僕…今日は帰るつもり無いから。」

股間を押し付けるようにわざと強く抱き付き、棗兄の首筋にそっと唇を寄せた。

「あっ…風斗、そんなくっつかれたら、俺…っ…。」

棗兄の息が乱れている事に気付き、僕より少し背の高い棗兄の身体をくるっと回転させると強引に唇を重ねた。

唇の隙間から舌を挿し入れると、遠慮がちに絡めてくる棗兄が愛おしくて仕方ない。

「…棗兄…好きだよ。棗兄が嫌って言っても…もう止められないよ…っ…。」

「…バーカ。嫌なんて一言も言ってないだろ?俺だって今止められたら辛いんだからさ…。」

棗兄の瞳が色欲に染まっているのに気付くと、僕は思わず棗兄の下半身に服越しに触れた。

「…あ…棗兄の、もうこんなに硬くなってる…キスだけで感じちゃった?」

「…ん…ッ…風斗…も、焦らしてないで…ちゃんと触ってくれよ…っ…。」

「…っ…棗兄…!そんな表情でそんな事言うなんてズルイよ…っ…。」

初めて見る棗兄の感じている顔に、僕の理性は瞬く間に何処かへ行ってしまった。

棗兄の身に纏っている衣服を一枚ずつ脱がせていき、身体中にキスの雨を降らせていく。

唇が乳首に到達すると、恥ずかしそうに両脚をもぞもぞと動かす棗兄に僕はゴクリと喉を鳴らした。

「…あっ…んぁ、風、斗…っ…もっと…俺に、いやらしい事…してくれよ…っ…。」

「…っ…いやらしい事ってどういう事?ねえ…棗兄は僕にどんないやらしい事、して欲しいの…?教えて?」

内腿を撫で廻しながら意地悪く問い掛ける僕を涙目で睨む棗兄に、僕の胸は震えた。

「…俺の、ここ…風斗が欲しくて、もうこんなに疼いてるんだ…風斗、何とかしてくれるよな…?」

棗兄の手は自らの欲の塊に這わされていて、両脚は限界まで開かれている。

あまりにも淫らな棗兄の姿に、僕の興奮は高まっていく。

ねだられるままに棗兄の欲の塊に指を這わせると、そっと形を確かめるように握った。

根本から擦り上げると僕の手のひらの中でどんどん硬く大きくなっていく棗兄自身に僕の下半身は熱く昂ぶっていく。

「…んぁ…あ…風斗も勃ってるな…なあ、触ってもいいか…?」

僕の答えを待たずに僕自身に指を這わせてくる棗兄に思わず棗兄自身を握っていた手に力が入ってしまう。

棗兄の手つきはとてもいやらしくて亀頭や裏筋を強弱を付けて弄られて気を抜いたら僕は直ぐにイッてしまいそうだった。

「ん…っ…は、ぁ…棗、兄…!ごめん…もう限界っ、棗兄の中に挿れたい…いいよね?」

「…ああ…良いよ。俺ももう我慢できない…風斗が欲しくて、堪らない…っ…。」

ねえ、棗兄。僕、不安だよ…。

だって僕はまだ、棗兄に好きって言われていないんだから。

でも、棗兄が今この瞬間、僕だけを求めてくれているのなら…僕はこのまま棗兄を僕だけのものにするよ。

「…風斗?どうした…?泣いてるのか?」

僕の動きが止まったのが心配になったのか、棗兄は汗ばんだ手で僕の頬を撫でて問い掛けてくる。

「ううん…泣いてなんかないっ。挿れるよ…力、抜いてて…っ…。」

棗兄の秘部に指を挿れグチュグチュと淫らな水音を立て掻き回した後、ゆっくりと指を引き抜き自らの欲の塊を棗兄の秘部に擦り付けると、ずちゅ…っと淫らな音を立てながら挿入していく。

「あぁっ…!風斗…ひぁ、あっ…もっと…奥まで突いてっ…メチャクチャにしてくれよ…っ…!」

どうしてだろう。棗兄はこんなに感じてくれているのに、僕の胸は切なさを憶えてしまう。

気持ちが通じていないままのセックスってこんなに辛いものだったんだ…。

胸が、苦しい。きっと棗兄は僕の事なんて好きじゃない。

「棗兄…っ…好きだよ…棗兄は…っ…僕の事、どう思ってる?」

気付いたら口を吐いて出ていたその言葉は、棗兄の心にどう響いたんだろう。

「…俺も…風斗が好きだよ…好きじゃなかったら、抱かれたりしない…。弟だから拒めなかったとか、そんなんじゃないからな?だからそんな辛そうな顔すんなよ…。」

「本当…?そんな事言われたら…僕、調子に乗っちゃいそう…今夜は寝かせてあげられないかも。」

棗兄の唇に自分の唇を重ねると、グイッと腰を引き寄せ最奥をぐりぐりと擦り上げた。

「んっん…!ふう、と…!奥…硬いの当たって…すげえイイ…っ…!」

「っ…!あんまり煽らないで…出そうになっただろっ…!」

もうイキそうなのか、棗兄の中が僕自身をキュウキュウと締め付けてくる。

「あ…っん…出していいよ。風斗…俺の中でイッて…?俺ももう…イキそ…っ…!」

ふと棗兄の欲の塊に目を向けるとそこはもうヒクヒクと震え半透明な滴をトロトロと溢していて僕は思わず手を伸ばして棗兄自身に指先で触れた。

「…棗兄…一緒にイこ…っ…!っく…っ…!」

棗兄の欲の塊を扱きながらより一層激しく腰を打ち付けると、棗兄は僕の背中に両腕を廻し切なげな声を上げながら僕の手のひらの中に熱い精を放った。

数秒後、僕も棗兄の中に熱い欲の証を放つと、棗兄の身体を強く強く抱き締めた―――。





情事の後、僕はベッドの上で棗兄のオレンジ色の髪を優しく梳きながら棗兄に問い掛けた。

「…ねえ、棗兄は僕の事、いつから好きだったの?僕、全然気付かなかったんだけど?」

僕の突然の質問に棗兄は一瞬目を丸くした後、照れくさそうに微笑み答えてくれた。

「…ずっと気にはなっていたんだ。風斗はツンツンしてて可愛げないけど、そこが興味をそそられるっていうか。案外エッチだって事も分かったしな…。」

「…あんまり褒められてる気がしないんだけど。でも、細かい事は気にしない事にする。大好き、棗兄…。」

棗兄を抱き寄せ触れるだけのキスをすると、棗兄の舌が僕の咥内に侵入してきて…僕の身体にはまた熱が生まれていく。

棗兄はずるい。きっと何度抱いたって僕が棗兄に敵う事はない。明らかに棗兄の方が大人で、一枚上手だ。

「んっ…風斗…俺も風斗が大好きだよ…だから俺から離れたりするなよ?ずっと、傍に居て欲しい。」

君があまりに優しい目をして言うから、僕の瞳からは大粒の涙が溢れて止まらなくなる。

「当たり前だろ…そんなの。僕だって棗兄の事、離したくないんだから…ずっと傍に居たいんだから…。」

ただ見ているだけでも幸せだったのに、いざ気持ちが通じ合うとこんなにも欲深くなってしまう。

僕以外の誰とも喋らないで欲しいとさえ思ってしまう。

好き過ぎて君を傷付けてしまわないかと不安にもなるし、これから沢山嫉妬する事もあるだろう。

でも、僕はもう絶対に棗兄を諦めたりしない。

棗兄に恋した事を、後悔したりしない。

心から棗兄の事を、愛しているから―――。

愛しくて仕方ない
(だから、どうか永遠に傍に居てください)

end.


めちゃくちゃ久しぶりの更新になりますね。今回は風斗×棗を書かせて頂きました。
まだ書きかけの作品がいくつかあるのでちまちまアップしていこうと思っています。
ランキング入り直したので何人か見ている人もいるみたいで嬉しいです。
読んで頂きありがとうございました。少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。




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