要×椿 R18



かなにーにとって、俺はどんな存在なんだろう。

そんな事を考えたって、仕方ないって解っているのに…

気付いたら、バカみたいにかなにーの事ばっかり考えている俺が居るんだ。

かなにーの事を考えると、この胸には鈍い痛みが奔るんだ。

かなにーにこんな気持ちを抱くなんて、俺は…どうしちゃったんだろう…?



「あれ、つばちゃんだ。今帰るところ?」

仕事が終わり家へ向かっている途中、偶然かなにーと遭遇した。

俺は胸が苦しくなるのを感じながら、必死にいつも通りの笑顔を作りかなにーを見つめた。

「うん、今から帰るとこだよー。かなにーも真っ直ぐ帰るのー?」

「うん。今日は久しぶりに家でのんびりしようと思ってね。あれ?あーちゃんは一緒じゃないんだ?」

「…別に俺と梓はいつも一緒に仕事してるわけじゃねーもん。今日は別々なの。」

俺と居るのに梓の事を気にするかなにーに、俺の胸には嫌な気持ちが広がった。

「んー?つばちゃんてば、何むくれてるの?あーちゃんの話されるの嫌だった?」

「っ…な、何言っちゃってんのー?俺がかなにーに梓の話されて、嫌がる理由なんて何もないじゃんか!」

「…でも、つばちゃん…何だか様子が変だよ。何かあった?」

かなにーの大きな手のひらが俺の頭を撫でると、思わず肩がビクンと揺れた。

子供扱いされているようで、俺の胸はズキンと痛んだ。

「ふ、二つしか違わないのに…っ…子供扱いすんなよっ!かなにーは…っ…かなにーは、俺の事…弟としてしか見てないかもしんないけど…俺は…っ…!」

気付いたら俺は、瞳から大粒の涙を溢しながら叫ぶように自分の気持ちをかなにーに向かってぶちまけていた。

かなにーは目を丸くさせると、俺の手をそっと握りしめ俺に優しく微笑みかけた。

「…つばちゃん。ごめんね…つばちゃんの気持ち、全然気付いてあげられなくて。でも…俺もね、ずっと前からつばちゃんの事…好きだったよ。だから泣かないで?」

「…それ…マジで言ってんの…?かなにーも俺の事が好きって…信じらんねーんだけど…。」

「…だったら、確かめてみる?」

かなにーの大きな手が俺の両肩に置かれ、思わずかなにーを見上げると真剣な表情をしたかなにーと視線がぶつかった。

かなにーの綺麗な瞳に俺だけが映っているんだと思うと、幸せで仕方なかった。

瞼をそっと閉じると、かなにーの吐息が近づいてくるのが解り俺は薄く唇を開いた。

唇が重なると、すぐにかなにーの熱い舌が咥内にぬるりと滑り込んでくる。

激しいキスによろけそうになり思わずかなにーの服の裾をきゅっと掴むと、かなにーの腕が俺の身体をギュッと抱き寄せ支えてくれた。

抱き寄せられた事で更に深く絡まり合う舌の感触がたまらなく気持ち良くて、俺の身体はどんどん熱を帯びていく。

「…ん…ん、ふっ…ぅ…んん…っ…かな、に…誰かに見られたら、どーすんの…?」

「…そんなの構わないよ。俺はつばちゃんとしたい…。キスも、キス以上の事も…全部、つばちゃんとしたい…。つばちゃんが欲しいんだ…。」

熱を含んだ瞳で求められると、俺は頬を真っ赤に染めながらかなにーの胸に顔を埋め小さな声で呟いた。

「…俺だって…俺だってかなにーと同じ気持ちだよ…?だから…奪ってよ。俺の全部を…。かなにーの全部で、俺を幸せにして…?」

「……あんまり可愛い事言わないで?家まで我慢できなくなっちゃいそうだから…。」

「う…それはさすがに困るかも……。じゃあ、急いで帰ろっかー?」

俺は頬を真っ赤に染めながらかなにーから離れると、かなにーの手をギュッと握り満面の笑みでかなにーを見つめた。

「…つばちゃん…そんな可愛い笑顔で見つめられたら…俺、心臓おかしくなっちゃいそうなんだけど?」

歩きながら耳元で囁いてくるかなにーに、俺は背中がぞくんと粟立つのを感じ小さく身を捩らせ濡れた瞳でかなにーを睨んだ。

「…っ…かなにー、耳元でエロイ声で囁くのやめてくんねー?…反応しちゃうじゃんか…っ。」

「えー?俺は元々こういう声なんだけど。あ、もしかして感じちゃったの?つばちゃんは耳が弱いんだ?」

「っ…だから…!耳元で喋るなって言ってんだろー?…ほら、もう着いたから…早く部屋に行こ…?」

繋いだ手にそっと力を込めると、優しく握り返してくれるかなにーに愛おしさが込み上げてくる。

早くかなにーに触れて欲しくて、俺はかなにーの手を引いてエレベーターに乗り込むとかなにーの胸に甘えるように抱き付いた。



エレベーターに乗っている間中、俺とかなにーはずっと唇を重ね合っていた。

時折かなにーの唇から漏れる吐息交じりの嬌声に、俺の下半身は完全に熱を持ってしまった。

「ん…ん、つばちゃん…エレベーター、着いたみたいだよ…?」

「かなにー…俺、もう我慢できない…早く、かなにーの部屋…連れてって…?」

かなにーの服の裾を掴みながら甘えるようにねだると、かなにーは余裕のない表情で俺を見つめ返してきた。

「…つばちゃん、可愛すぎだから…。俺、今夜は優しくできる自信ないな…。」

かなにーの呟いた言葉に、俺は頬を真っ赤にしながらかなにーの肩に寄りかかると小さな声で呟き返した。

「…優しくなんてしなくていーよ…?かなにーになら、俺…酷くされても後悔しない…。」

「…!つばちゃん…そんな事を言うなんてずるいな…俺、抑えが利かなくなりそうなんだけど…。」

かなにーの大きな手が俺の腕を掴むと、緊張と期待で俺の心臓は早鐘を打ち始める。

そのまま部屋へと連れ込まれ、扉を閉めた瞬間に後ろから抱き締められていた。

かなにーの腕の力強さに、涙が出そうなくらいに胸の奥が幸せでいっぱいになった。



「かなにー…ベッド、行かないの…?」

首筋を舐められると、俺はぴくんと身を震わせ濡れた声でかなにーに問い掛けた。

「ベッドまで待てない…早くつばちゃんを抱きたい。」

ストレートな言葉で求められ、恥ずかしさのあまり何も言い返せないでいるとかなにーの手が服の裾から入ってくるのを感じ俺は小さく身動ぎをし唇から甘い声を漏らした。

「ん、ぁっ…は、ぁ……ん、んっ…!かなにー…乳首ばっかり、やだぁっ…!」

乳首を執拗に弄ってくるかなにーの指にそっと触れると、かなにーは俺の乳首をコリコリと弄りながら俺の耳元で低めの声で囁くように問い掛けてきた。

「つばちゃんは、俺にどこを弄って欲しいのかな?ちゃんとおねだりできたら、望み通りにしてあげるよ?」

「ぁ…っ…乳首、舐めて…あと…俺の熱くて固くなってる、コレ…触って…扱いて…舐め、て…気持ち良く、して…?」

俺はかなにーの腕を解きそっと振り向くと、頬を赤らめながら自らの股間に誘うように指を這わせ熱を含んだ視線をかなにーに向け甘えるようにねだった。

「…つばちゃんってばエロ可愛いんだから…。いいよ、気持ち良くしてあげるね?」

かなにーは俺を床にそっと押し倒すと、俺の身に纏っている衣服を一枚ずつ脱がせていく。

露になっていく肌にかなにーの細くて長い指が這わされると、俺は濡れた瞳でかなにーを見つめた。

かなにーの唇が乳首に到達し、唇で挟むように何度も吸われると俺の唇からは甘い声が漏れていく。

「んぁっ…!あっぁ…!ひ、ぁっ…!かなに、ひゃぅっ…!」

「つばちゃん、乳首だけでこんなにエッチな声出しちゃうなんて…可愛すぎる。ここも…もうこんなに固くなって、いやらしい滴が垂れているね…?」

かなにーの舌が俺の欲の塊に這わされると、俺は思わず腰を大きく揺らし切なげな嬌声を上げた。

「んっ、ぁ…!ひぁっ……あ、ぁっ…!や…ん、はぁ、ん…かなに…っ…!も、だめ…出ちゃ、う…ッ…!ひ、ぁっ…っ…んぁぁあっ…――ッ!」

裏筋に舌を這わせながら亀頭を爪でぐりっと刺激されると、俺は我慢できずに両脚をガクガクと震わせながらかなにーの口許目掛けて熱い欲を放った。

「つばちゃん…結構溜まってた?超濃厚…。」

口許にべっとりと付いた俺の精液を綺麗に舐め取るかなにーに、俺は思わず頬を真っ赤に染め涙目でかなにーを睨んだ。

「かっ…かなにーの変態!本人の目の前で舐めるなっつの…。」

「えー?そんな事言って、本当は興奮してるんでしょ?また少し固くなってるよ?」

亀頭を親指でぐりぐりと刺激されると俺自身はビクビクと反応を示してしまい、俺は濡れた瞳でかなにーを見つめた。

「ひぁっ…!そんなの…仕方ねーじゃん…っ…大好きなかなにーにイクとこ見られて、おまけに自分の放った精液まで舐められて…興奮しない方がおかしーよ…。」

「つばちゃんって本当に可愛いな…俺も興奮してるよ…。ほら…解る?」

かなにーに手を掴まれ、そのままかなにーの股間に触れさせられると俺は切なげな表情でかなにーを見つめた。

かなにーの熱い脈動が伝わってきて、俺はたまらなく欲情してしまった。

「…かなにーの…すっげ固くなって脈打ってる…ね、舐めてもいい…?」

「もちろんいいよ。つばちゃんに舐めてもらえるなんて、ますます興奮しちゃうな…。」

俺はそっと身体を起こすと、かなにーを床に仰向けに寝かせた。

そして、かなにーの両脚の間につま先立ちで座りそのまま身体を屈めてかなにーの股間に顔を埋めた。

両手でやんわりと握りながら口を窄めて根本まで丹念に舐め上げると、かなにーは切なげに眉を寄せ俺の髪をくしゃりと掴んだ。

「ん…ふ、ぅ…ん…っ…かなにー…気持ち良い…?」

かなにー自身に舌を這わせながら甘えた声で問い掛けると、かなにーは余裕のない表情で小さく頷いてくれた。

「…ん…すごく気持ち良いよ…?つばちゃんのも興奮してるみたいだね…エッチなミルクがポタポタ垂れてるのがよく見える。」

「…こんな恥ずかしい事してるんだよ?興奮しないわけないじゃんか…。ね、もう欲しい…。俺…これ以上我慢したらおかしくなりそう…。」

俺はかなにー自身から口を離すと、かなにー自身にそっと指を這わせ誘うようにねだった。

「そうだね…俺も早くつばちゃんとひとつになりたいな。その前に、つばちゃんのここ…解さないとね。」

かなにーは口角だけを上げ微笑むと、そっと上半身を起こし俺の両脚を限界まで開かせまだ閉じたままの俺の秘部に指をツプリと捩り込み掻き回してきた。

「んぁっ!ひ、ぁっ…あ…っ!ん、ぁっ…!かなに、ぃっ…!指より、かなにーの挿れて…?俺…もう一秒も待てない…。」

「っ…つばちゃん…。大好きだよ…ずっと…つばちゃんの傍に居させて…?」

かなにーは俺の秘部から指を引き抜くと、ヒクヒクと淫らに蠢く俺の秘部に熱く膨張しきった欲の塊を宛がいゆっくりと腰を沈めた。

全部入ると、どちらからともなく唇を重ねた。

かなにーの舌を舐める度、俺の中を突き上げているかなにー自身が少しだけ質量を増すのがたまらなく気持ち良くて、俺は夢中でかなにーの舌を追った。

「…つばちゃん…声、聴かせて…?俺ので感じてるつばちゃんの声が聴きたい…ね、いいでしょ…?」

「ん…そんな、改めてお願いされたら恥ずかし…んぁっ!ひ、ぁっ!あっ…!ん、ぁ……んっ、ひぁ…っ!かなにっ…激し、んぁぁっ…あ、ふぁ…っ!」

頬を赤らめて呟いた刹那、腰を動かすスピードを急激に速めるかなにーに俺の唇からは艶めかしい嬌声が次から次へと溢れ出していく。

「つばちゃんの中…俺のをいやらしく締め付けてくる…たまらないな…っく…ごめん、つばちゃん…もう限界かも…つばちゃんの中に出してもいい…?」

「ぁ…っ…そ、んなの…訊かなくてもいーよ…?俺がかなにーを拒むなんて事、ありえないんだからさ……いっぱい出して、いーよ…?」

優しく微笑みながらかなにーの頬にキスを落とすと、かなにーは俺の腰を引き寄せ最奥を数回激しく突くと俺の中に熱い欲の証を注ぎ込み俺の身体を強く抱き締めてくれた。

「あっ…んぁ、あっ…!あ…っ…ん、ぁ…っかなに…っ好き…大好きっ…ぁ…っ、んぁぁぁっ…――ッ!」

俺は瞳から大粒の涙をぽろりと溢しながら、かなにーの後を追うように自身から熱い欲を放つとかなにーの広い胸に飛び込むように抱き付いた。



「つばちゃんがこんなにいやらしい子だなんて知らなかったなあ…。特に、"いっぱい出して、いーよ…?"にはやられたなー…。」

「だって、それは…かなにーが切なげな表情で"出してもいい…?"なんて訊くからだろ!」

行為の後、俺とかなにーはベッドの中で裸で抱き合いながら他愛もない話をしていた。

「それにしたって、あんな淫らな台詞…きっと一生忘れられないな。」

「恥ずかしいから忘れてくんねーかな…。…ねー、かなにー。お願いがあるんだけど、聴いてくんねー?」

「うん?どうしたの?つばちゃんからのお願いなら何だって聴くよ?」

優しい表情で俺の顔を覗き込んでくるかなにーの頬にそっと手を伸ばすと、俺は震える声で伝えた。

「…これから先、どんな事があっても俺から離れないって…約束、してくんねーかな…俺も約束するから…。」

真剣な表情でかなにーの返答を待つ俺の頬に優しく唇を寄せてくるかなにーが愛おしくて、俺はかなにーの頬にスリスリと頬擦りをした。

「…俺はつばちゃんから離れるつもりないよ。つばちゃんが俺を好きで居てくれる限り、俺はずっとつばちゃんの傍に居る。」

かなにーの強い想いに、俺の瞳からは大粒の涙が溢れて止まらなくなっていく。

「…ありがとー、かなにー…。愛してる…っ!」

「俺も愛してるよ…つばちゃん。」




伝えきれない愛しさが涙となって零れていく。

これからもずっと、かなにーと一緒に居られる保証なんてどこにもないけれど

俺のこのかなにーへの想いは、きっと一生変わらない。

俺のこの心は永遠に、かなにーだけにしか満たせない。

だから、どうか…俺から離れないでね…――。

「おやすみ、かなにー…。」

「うん…おやすみ、つばちゃん…。」

これから先も、ただ一途に愛してる
(この想いに気付いた瞬間に、俺の全ては君に奪われていたんだよ)

end.


今回は要椿を書いてみました。
マイナーの中のマイナーだと思いますが、多分今までで一番長文になっていると思います(笑)
人気のあるCPの時にもっと力発揮しろよ…自分…と何度もセルフツッコミ入れちゃいました。
このお話の椿はいつも以上に可愛くて、ちょっと自分で書いてて恥ずかしかったです。
でも、なかなか可愛いかなつばに仕上がったかな?と思っています。ぐだぐだだけどね…。
読んで頂きありがとうございました。皆さんに少しでも気に入って頂けたら、嬉しいです。

素敵なお題は秋桜様よりお借り致しました。ありがとうございました。



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