なぜ私に構うんだ、と少年と青年の境にいる男は年相応のかわいらしさを未だ残してこちらを睨んだ。あまりに私がべたべたと纏わり付いていたのが気に障ったらしい。しかし優しい彼のこと、あっちへ行けと邪険に追い払うことも出来ずに理由を聞くふりで遠回しに遠ざけようとする。それを全くの無自覚でやっているから彼はいけない。

「なんか面白いんですよネ、きみ」
「こっちは面白くない!」
「賢そうなおでこだし」
「…ふざけるな」

ああ、今度はふて腐れた。ふいと横を向いた金とも茶とも取れない色の眼の端はきりりと吊り上がっている。からかいがいもある上によくよく見れば派手ではないにせよ整った顔立ちである。その短い眉の間にはシワが刻まれて酷く真面目な性格を表していた。

「すみませんね、こんな性格なんで」
「嘘をつくな…演技の癖に」
「じゃあ私かなりの役者ですネ」
「……、否定できないな」

やれやれ負けたと言ったふうに苦笑した彼は数年後にはどんな青年になっているだろうか。今ですら年上の私にこんなにもはっきりとものを言い苦労を重ねた大人びた笑みを浮かべるのだ、少しばかり怖くもあり楽しみである。その頃まで変わらない姿の私の横で小言を言い続けるのか、時々無邪気に微笑みながら。
願わくばそうなってほしい、と思う自分に並々ならぬ彼への好意と執着を感じて浮かべた苦笑にレイムは首を少し傾けた。その彼に問う。

「レイム、きみは大きくなったあとも私にからかわれ続ける自信はあるかい?」
「願い下げだが絶対にそうなるだろうな、ザークシーズ」

彼の吐いた溜息に私はひどく安心した。





「…仕事をサボった揚句に何をにやにやしてるんだ」
「いえ、少し考え事を」
「やましいことじゃないだろうな」
「ただ昔言ったとおりになったなあと思っていただけですヨォ」
「なにがだ」
「観察日記でもつけておくべきでしたか」
「だからなにが!」
「残念ですネー」
「人の話を聞いたらどうだね!」
「聞いてますよ、」



「芽が出た花の
観察の話です」

(いまだにきみは私の横で)
(百面相をしつづけている)


10.08.03
レイム15歳とかの話。
朝顔にしようとしたけど風土がわからんのでやめました。


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