甘ったれたうそっぱちがぎらりとひかる
はじいたよ柑橘のやみよ

或いはそんなふうな呪縛だ
春にあわず飾りだてる夜のしもべたちに
それから八月のめまい
むこう窓にみどりいろのくびてあし
ほんとうのことよ、ほんとうのおしまいよ

うそのてあしよ
なま光りしていた鰯の背なかよ
ああほしいものぜんぶほしい
かかとの骨みたいに齧られてなくなる
いいのうそのてあしだから

よるの豚に
あたしよるがまぶしい絵本をかくわ
あなたのいない生活を甘く煮る

うつくしい絵画みたい
ひんやりした冷蔵庫みたい
かどのない浴槽みたい
あなたの長くのびるあしが影もつくらずにただ絡みついてやけどしたみたい

すき
でも告げてはだめ
わたし極さい色の恋びとにはなれない
「胸騒ぎ」「いろ?」
(夜ふけのベランダで)

花々があなたのなまえを騙る
なまえよ
そんな奇妙なことばたちじゃないもの

ずうっとパールを吸ってる
だから極彩色にひたいを染めたあなたが
すごくすごく腹だたしいわけ

ゆめの果てにほねを引っ掛けてしまった
ぢりぢりの感かくが散りばめられて
あなたが女のようなことばをぐちゃぐちゃにして
甘いままで
あなたは擦れてもいない頬からだらだら
脊なかのすきまからだらだら

ねっとりとした口づけのあとにやわらかいおとをたててくすくすわらうのやめて

あなたが恐ろしきねんねちゃんになってしまったから
わたしは幽霊みたく怒号を飛ばしてやる
そうして
まど枠を齧る夜がくる

あけがた魘されたい
あなたのぴりっとした甘みで
裂かれて痛いふりをして









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