ばらを蒔いてねむれないわたしたち
野ばらのあとのしずかなわたしたち
まばゆいの溶けて垂れる
憑かれたのにあまいふりできるの
あなたは黄金色にみたてた悍ましさをひとすぢ吸いあげて
幼い
わたしは毛布にくるめられて
“ここへおりてきて”
つめたいひとにざくろをはじいて酸っぱい


暗がりでぼやけているのは
ときどきのやさしい幽霊たちだけで
野の花の発光してやわらかくなるのを
ずうっとまっているのだと云う
にどとしねないから
やさしいものたちで在るしかないのだと云う
去ってしまったひとを懐かしんでねころがる
そのときの床についたふたつのひじのいたい感かくも
にどとわからないから
不思議とむずかしいまつげを綴ぢるやりかたを
わすれたふりでえいえんに
眩しがるしかないのだと云う


あなたはわるいゆめのあと
きずぐちをなぞられたい
それならもう黙って
呪いで綴じて
ねじ込んで
うそで


あなたを何度も殺した
だから吊るされた恋いびとたちは
怪しいまひるに内臓をだらりとさせて
夜光虫を噛むしかない


あじさいの茎はどんなあじがする?










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