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05 ぱるふぇ:近藤勇


(た、食べ過ぎたかも)



たぷたぷと水っぽいお腹を抱えて中庭に向かう。

結局あの後、渋々許可を下さった土方さんに頭を下げてから、沖田さんと近くの甘味屋さんまで夏氷を食べに出掛けた。

千鶴ちゃんのお手柄だからと言って、お店の品書きの中で一番大きい宇治金時をご馳走して貰ったんだけれど、流石に一人であれだけ食べると幸せを通り越してちょっと苦しい。

それにしても、今日は色んな方から甘味を頂くな。

嬉しいと思う反面、餡蜜、琥珀羹、夏氷と少々糖分過多な気もする。

いけないいけない。

皆さんのご厚意だもん、無碍にしちゃダメだよね。

夕立に降られる前に、と乾いた洗濯物を取り込みながらふるふると頭を振った。

そんな時、縁側から近藤さんの元気な声が飛んできた。



「雪村くん、ちょうどいいところに」



舶来の珍しい甘味を頂戴したんだが、一緒にどうかね?

その言葉に思わず首を傾げてしまう。

また甘味?

今日は本当に一体何があったのだろう。

ぐるぐると考え込んでいる私には気付かず、近藤さんは変わらずにこにこ笑っている。

溶けてしまうものだから、洗濯物は後回しにして先に部屋へ来てくれないか。

そう言って私の返事も待たずに先に立って歩き始めたから、慌てて追いかける。

ちらりと見上げた空は、相変わらずの晴天で、まだしばらくは夕立の心配もなさそうだった。







「これなんだが」



そう言って近藤さんが取り出したのは、小さいのに重たそうな箱。

中からやわらかそうで色鮮やかな何かを盛った器が出て来る。



「これはぱるふぇと言ってだな、牛の乳と水果の汁で出来ているそうだ」



「牛の乳、ですか」



さあさ、早速頂こうか。

そう促され、冷たい器を手に取る。

大福のような白く丸い玉に紅色の液体がかかっている。

その上にぐねぐねと入道雲の様な渦巻き。

それらを少しずつ掬い取って、口に入れると夏氷よりももっと甘く滑らかで、雪が融けるようにふわりと消えた。



「美味しいです……!」



ついつい満腹で苦しいのを忘れてぱくぱくと口に運んでしまう。

そんな千鶴を優しく見つめながら、近藤もまた、自身の口へぱるふぇを運んだ。


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