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01


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沖田先輩とケンカした。

話の流れでなんとなくそうメールしたら、次の休み時間に平助くんが飛んできた。



「道理で。総司の機嫌が悪いと思ったんだよなー」



呆れた風な物言いとは裏腹に、その目には心配そうな色が浮かんでいる。



「で、いつから口きいてない訳?」



その問いに、小声で「5日」と答えたら、平助くんは目を剥いた。



「そんなに?!」



あいつもガキだよな、なんて苦笑している。

やっぱり5日も喋ってない、なんて長すぎるよね。

でも、メールも返ってこないし、電話も出てくれないし、学校で会ってもすぐ逃げられる。

正直お手上げ状態だった。



「んな顔すんなって」



ぽんぽん、と私の頭を軽く叩いて、励ますように平助くんは笑って見せる。

その明るい笑顔につられて、いつもなら私もへらりと笑ってしまうのに、今日はほんの少し頬の筋肉が痙攣しただけで、上手く笑えなかった。



「あいつも引っ込みつかなくなってるだけだって」



そう言って、なにか思案するように空を睨んだ彼は、少ししてからニヤリと悪い顔で笑った。



「千鶴、良いこと思いついたからちょっと耳貸して」



ちょいちょい、と誘う手に耳を寄せれば、口元に手を添え少しくぐもった幼馴染みの声。



「な?名案だろ?」



「でもそれってかなり無理があると思う――」



「いいからいいから」



自信満々に平助くんは笑う。

無謀な計画に、私は内心ハラハラしていた。



「そうと決まったら早く行こうぜ!」


勢いよく立ち上がった平助くんがわたしの手を取る。

「おい、てめぇら!廊下走んじゃねぇ!」そう怒鳴る土方先生の声を聞き流しながら、私たちは全速力で駆けていた。


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