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05 おとうばんのじかん


「さ、満腹になった事だし準備して巡察にでも行ってくるかな」



満足そうにお腹を擦りながら、永倉さんは立ち上がった。

重そうな大小を両手で引き摺るようにして抱えて行く。

それを呼び止めたのは、さっきまで黙々と沢庵をかじり続けていた土方さんだった。



「おい新八、ちょっと待て。おまえ今ここで刀握ってみろ」



「ん?ここでか?」



訝しみながらも永倉さんは苦労しながらふたつの刀を腰に差すと、素直に鞘から刀身を抜き放とうとした。



「げっ」



刀は手をいっぱいいっぱいに伸ばしても鞘から抜けない程に長い。



「……ちっ、思った通りだな」



小さくため息を吐く。



「三番組か――おい、雪村」



急に名指しで呼び出されて、私は慌てて振り返った。



「島田を呼んで来い」



こんなんじゃ巡察に出たってどうしようもねぇからな。

島田に事情話して、今日だけは伍長以下で巡察に行ってもらうしかねぇだろ。

土方さんの言葉に頷いて、私は島田さんを探す為に廊下に出た。


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