プレゼント

 なんだか、暇だ。久しぶりに誰かに会いに行ってみようと思ったんだけど、みんな全然つかまらない。セネセネは朝からリッちゃんと水の民の里に行ったらしいし、ウィルっちはハっちと親子デート、クーはエルちんと薬草摘み(エルちんいわくデートらしい)、モーすけに至っては山賊達と昨日から夜通し宴会中、っと。
 寂しい独り身のあたしは朝からずっと暇潰し相手を探し続けて現在昼過ぎ。

 そろそろ誰かと会うのは諦めて、トレジャーハントへでも出かけようか。そう思いつつ、街の外へ向かう。

「みんな、冷たいんだから〜」

 そもそも前から誰かと約束していたわけでもなく、あたしの都合で勝手に探して勝手に見つからないってだけ。冷たいだなんてそれこそお門違いなんだけど、それでも愚痴らずにはいられない。なんでみんな、よりにもよって今日なのよ。

 さぁどこへトレジャーハントしに行こうかなんて考えながら歩いていると、宿の前あたりで街の外から歩いてくる人物を見つけた。

「あ、」

 紫色のだぼだぼした服に、黄色い鈴。黒くて長い髪はジャマにならないよう頭の横でひとつに纏めている。言わずもがな、ジェージェーだ。なぜか黄色い花束を持っている。

「それ、ヒマワリ?」

 やっほ〜と軽く挨拶をしてから花束を指差して聞くと、ええ、という肯定の声が帰ってきた。

「先ほどシャーリィさんに貰ったんです」
「リッちゃんに?」
「はい。丁度よかった、これ、ノーマさんに差し上げます」

 そう言って花束をごっそりと差し出すジェージェー。びっくりして思わず受け取ってしまう。

「それじゃ、僕はこれで」
「え、もう帰んの?」

 ジェージェーはさっさと背を向けて街から出ていこうとした。今来たばっかなのに、そう思って呼び止めると、振り向いたジェージェーは珍しく少し慌てているみたいだった。

「僕は忙しいんです」
「じゃあ、なんで街まで来たの?」
「それは……、」
「もしかして、あたしにこの花くれるため、とか?」
「し、仕事でこの近くまで来たら、シャーリィさんに会っただけです。家に持って帰っても、邪魔なだけだし…」
「でも、リッちゃんは朝からセネセネと一緒に水の民の里に行ってるよ?」
「あ…、」

 にやにやと、思わず笑みが零れる。ジェージェーがこんなことするなんて意外で、すごく嬉しかった。

「しょ〜がないな〜。特別に、この凄腕トレジャーハンター・ノーマ様のトレジャーハントに連れていってあげるわ!」
「いえ、結構です」
「そんなこと言わずにさ〜」
「ただノーマさんが暇潰しの相手が欲しいだけでしょう?」
「う"……」

 くっそ〜、ジェージェーめ。さっきは頬を紅く染めちゃったりしてあんなに可愛かったのに!

 しょうがないから花束を持っていない方の腕でがっちりとジェージェーの腕をホールドする。ジェージェー、確保!
 ジェージェーにも特に抵抗するつもりはないらしかった(面倒くさそうに溜め息つかれたけど)から、そのままダクトに向かう。

「あ、ちょっと待った!」
「なんですか」
「先にこの花、生けてくんね。いい? 絶対、逃げないでよね!」
「はいはい、わかりましたよ」

 そしてあたしは急いで宿に戻る。黄色いヒマワリに合う花瓶、部屋にあったかな? なんて考えながら。



プレゼント
この花を見てまっさきに思い浮かんだ君へ



――――――――――

もともと水橋かおりさんの誕生日記念、みたいな感じで代わりにノーマにプレゼントあげよる話かこう! とか思ってかきはじめたはずなのに、気付けば1ヶ月以上放置(^q^)w

ごちゃごちゃ言いながらも結局はノーマに付き合うジェイはかわいいですね!←


10/03



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