走りだす少女の双眸に宿る希望と祝福

「行った……か」

 走りだしたゆるいウェーブのかかった金髪を見送ると、軽くため息をつく。

「メルネス様がいるっていうからどんな方かと思えば、ただの女の子じゃない」

 姉さんのお墓参りに来てみれば、里の前に女の子が蹲っているから驚いた。しかも身にまとっているのはあろうことか陸の民の服。

 まさかと思って名を呼んでみれば、やはり彼女が "シャーリィ" だった。

「なにからなにまで、姉さんに聞いたまんまだったわ」

 今まで姉さんから送られてきていた何通かの手紙の文面を思い出す。そこには新しくできた "友達" のことがなんとも楽しそうに綴られていた。

 でも、だからこそ、信じられなかった。ワルターという今まで姉さんの手紙の中でしか聞いたことのなかった人物から手紙が来た時。姉さんがメルネスを守って死んだ、と聞いた時。

 だから私が今日ここに来た理由は姉さんのお墓参りともうひとつ。姉さんの死ななければならなかった理由を、聞くため。


 まさかメルネスを励ますことになるとは思わなかったけど。

「姉さんの祝福と私の希望をあげたんだから、今度またへたりこんだりしたら許さないんだから」

 そして私は水の民の里に足を踏み入れた。




再10/03





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