ギャリーは、私のことどう思ってるんだろ。
好き、嫌い? それともどうでもいい?
いつもイヴ、イヴ。何がそんなに大事なのか私には分からない。
確かに私だってイヴが欲しい。可愛くて柔らかくて賢くて聡明で。
それと同時に憎い、私より幸せで何でも手に入って外の世界にいるから。
私が気になってやまない人の心にずっといるから。
どんなにイヴが無意識だってギャリーは故意に追いかける。
私はどんなに求めたって何も手に入らないのにね。
今目の前で二人の世界に入っている二人の眼中には私の姿なんて無い。
寂しさと憎しみが生まれて、パレットナイフを握り締める力は食い込みそうなほど。
私の友達が、私の世界が、全部全部汚されていく。
望んでもいない来訪者によって全部ギャリー色にされていく。
「ギャリーはイヴが好きなの?」
「なっ…何よ、いきなり。」
ほら、動揺してるじゃん。顔紅いし。やっぱり好きなんだ。
「私は? 私のことは嫌い?」
「…はぁ。ホント何なのよ、アンタ。むしろアンタがアタシを嫌ってるんでしょ。」
はぐらかすんだね。なら私のこと好きって言えばよかった。
どうせ私の納得する言葉なんて出てこないけど。
「うん、イヴと話しているギャリーは嫌い。でも…ギャリーは好き。」
「……意味わかんないわよ。」
わかるはずないじゃない。私の事を見てくれないなら一生わからない。
イヴと話しているギャリーは大嫌い。嫌い、嫌い。
あんなに楽しそうで、ご機嫌なギャリーなんて大嫌い。
私には向けてくれない笑顔なんて大嫌い。
「…やっぱり嫌いかも。」
「…頭痛いわ。あ、イヴ!」
私の言葉に耳を傾けるまでも無く駆け出した。
その二人の姿は外の世界の太陽のようで、翳った月の私は触れることさえ叶わない。
…大嫌い。
喰い込むほど握り締めて体が痛いはずなのに、どうしてか心が痛むような気がした。
苦しくて、辛くて、恋しくて、寂しくて、どうしようもない虚無感が。
造花のはずの黄薔薇の花弁が散った気がした。