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また、私は死んでしまった。




『タイム・リープ』という小説を読んだ事がある。
『あした』が『きのう』な話、何回も同じ人生をぐるぐるまわる話。

私もそれと同じで、同じ人生を何回もやり直している。
事故で死んだり、災害で死んだり、いろいろあったけど、必ずふりだしに戻って両親の元に還ってきた。今までは……

「………天使?」

なのに、今回は目の前に金髪碧眼長い睫毛が頬に影をつける美人。どうも私を抱えて、顔を覗きこんでいるみたい。
小さな顔に大きな瞳、それでいて男性的な雰囲気に溢れている。肩まで流れる髪はクリムトの絵を彷彿させ、神々しく感じてそれでいてエロティックで甘美で、どこか暗い影をはらんでいる。

「綺麗ね」

思わず、ほう、と溜め息をついた。
ああ、ここは天国なんだ。私はついに『死んだ』んだ。

天国ってどんな所なんだろう?こんな美人がいるんだから綺麗な所なんだろうな。なんだか暖かいし、安心して眠くなってきた。
でも、お父さんやお母さんにもう会えないのか。

(………寂しい)

ひとりぼっちの悲しい気持ちが渦巻くなか、私の瞼は引力に引き寄せられていった。

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