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(尋問じんもんジンモン…)
「あの〜警察とか保護とかしてくれるご職業の方ですよね?カツ丼的な」
「何言ってるかわかんねぇが、俺たちがマトモな奴に見えるなんて、お前の目はスゲエな」
あきれるような態度で私の髪を引きつかみ、顔を強制的に固定させた救世主様の顔は、よくよく見てみれば凶悪だった。
学校にいたら絶対話しかけない、町で見たら近寄らないそんなタイプの人のような。
そして変態のほうがイケメンだ。
「………」
私はなにも考えず部屋の唯一の出口、壊された扉にダッシュした。
救世主なんかこの世にいないんだ、やはり信じられるのは自分のみ。
私は私の足を信じる!
「あっ!テメェ、待ちやがれ!!」
へんな頭の尋問男が追いかけてきたが、壊れた扉を無理矢理蹴りはめて尋問男と変態男を閉じ込めてやったぜ!ハハハッ!!
(とにかく逃げなきゃ)
壊れた扉の先は廊下、そしてリビングへと続いているようだ。
奥の窓から差す朝日が美しい。
なんという希望への道、栄光への架け橋!この家さえ出れば私は自由だ!
早く出て警察を探そう。
「ホルマジオッイルーゾォ、そいつ捕まえろ!逃げる気だ!!」
尋問男の叫び声が後ろから聞こえたんだけど、知らない名前を読んでいるような気がする。
「しょうがねえなあ〜」
「つめが甘いんだよ、馬鹿」
目の前には新しい男が二人。ふさがれた!逃げ道を断たれた!!
髪形と服装はわりかし普通だけど、もう私は信じないぜ。
こいつらは変態で誘拐犯なんだ、ダウンハラチラとかEXILE坊主とかの一般人などいない!
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