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「お願いじまずぅ〜助げでぐだじゃい……」
涙ながらに救世主に懇願したら、変態を引き剥がしてくれる様だ。変態の両腕は救世主の腕に拘束され、私の足から離れた。
やだ、本当に救世主かも。惚れそう。
「メローネ、お前元気だな」
「オレは最近仕事してないからね」
変態男の名前はメローネと言うらしい。しかもニートくさい。
メローネ、か。今度からジェラート頼む時はメロン味を頼まないようにしよう。注文するたび思い出しちゃう、うえ……
「とりあえず剥がしたぞ」
「…ありがとうございます!」
私は変態から離れられた嬉しさと感動を伝えようと、救世主にすがり付いた。
お願いだから置いていかないで、変態のいない所に連れてってほしい。
何も喋らない救世主に不安になって、彼の顔を見上げた。
おお、凄いくるくる髪!まるで失敗したソフトクリーム。
そんな失礼な思考が顔からだだ漏れだったのか、救世主は私の顔を見て、一瞬凄い嫌そうな顔をした。
ごめんなさい、でもその髪おかしい。
「お前、名前は?」
「九重ユキです」
「年齢」
「15才です」
あれ?質問タイム?
(床に)座って、向かい合って、見つめ合って、なんかお見合いみたい。
「国籍」
「日本とイタリア」
未成年だからまだ国籍を選択してない。
「ハーフ?学生か?」
「はい」
父親がイタリア人で母親が日本人な高校生だ。
「だからイタリア語が話せるのか、英語やフランス語は喋れるか?」
質問がお見合いっていうよりさ、アレに似てない?アレ、スパイ映画でよくあるやつ。
「……なんか尋問みたいですね」
「いや?尋問してンだけど?」
―――――『尋問』?
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