6
―――まぶしい。
光がまぶたの奥をガンガン刺激してくる、もう朝だ 起きなきゃ。
(あれ?昨日部屋のブラインド閉め忘れたっけ…)
頑張って起きたら、目の前に広がるのはカーテンのかかった知らない部屋って……これおかしい、私の部屋の窓は全部ブラインドなんだけど。これ絶対おかしいよ!!
「――――えっ!?」
驚いた私は、とりあえずベットから降りて部屋を確認しようと身を起こしたら、何かに足が引っ掛かってバランスを崩してしまった。
「ぎゃっ!!」
そして何かに突っ込んだ。
『何か』はなんだか生あたたい黒い塊だ、けっこう大きくてうごめいている。
その黒い塊からにゅっと腕が生えて私の首もとにはりついた。
男だ、大人の外人男性だ。
「……君って積極的なんだね」
(積極的!?っていうかイタリア語?だれ?)
知っている人かと上から下まで何往復も確認したけれど、変だ。っていうか変態だ。
だって服がおかしい、上着は所々切れ込みが入って肌が露出している。見えそうで見えない、パンツも見えないんだけどもしかして履いてないの…露出狂?そして何より柄がおかしい。
自分の顔が眉間に皺寄って嫌悪感に溢れているのが鏡で確認しないでもわかる。
「ベネッ!じゃあする前にお互いの嗜好を確認しようじゃないか。どんなキスが好き?体位は?アブノーマルやハードなのもイケる方?」
髪をかきあげられて耳元で囁かれた。囁かれたっていうか舐められつつ言葉責めされてるっていうか。
いつの間にか押し倒されてのし掛かられてる。重いんだけど、でも……あれ?
(―――これってコレってアレって事!?アレされるって事!?もしかしなくても凄くヤバい状態って事!?)
混乱して考えがまとまらないけど、ヤバい。これはとてつもなくヤバい気がする。何でこんな事になってんの?私昨日なんかした?なんか死んだような気はするけど男と一緒に何かした覚えなんかないよ!?私まだ処女だよ!?
「夢だよ!これは夢なんだよ!寝たら元に戻る!!」
現実逃避しようとした私を現実に引き戻したのは変態男だ。というより変態男の一部だ。 一部がその、何て言うかその……ううん、こんな事は私の口からは言えない。
変態男は私の両手を股間にあてて、それはそれは爽やかな笑顔で微笑んでいる。イケメンだ、でも変態だ。
「寝たらそりゃあ戻るよねえ、じゃあさっそくおっ始め……」
「イヤーーッ!!こっち来ないでぇ!」
なんだかわかんないけどとりあえずこの男から離れたい。
必死に逃れようと変態男に捕まれた足を引き剥がそうと引っ張るけど全然離れない、力強すぎるよ変態怖いよ。
引き剥がそうとしていた手まで男に捕まってしまい、ねっとりとキスをされた。悪寒が止まらないし涙も止まらない!
その時、もの凄い音がしてドアが開いた。いや、開いたっていうか壊されたっていうか、外れたドアノブを手にした青年が飛び込んできた。
「ウルセーーーーッ!!俺は寝不足で疲れてンだよ!静かにしやがれ!」
うるさい、凄くうるさい。耳鳴りが鳴り止まない、でも目の前の変態は平気そうでムカつく。
その、部屋の唯一のドアから現れたくるくる髪の男性は全然知らない人だったけど、私は救世主だと確信した。
だって肌の露出少ないし。
7/12
prev next