短編 | ナノ



幽霊とディオと天国




『天国に行くにはどうすればよいのか?』

その『女』は長年の私の疑問に対し、それは
それは、『この世の者と思えぬ』純粋な笑顔で答えられた。






「天国に行きたいんでしょ?死ねば?」

「馬鹿か…」

最近我が屋敷に出入りするこの『女』の頭は、ネジが大分緩んでいるようだ。

「さっさと太陽の光を浴びて灰になっちゃえばいいのに」

そう言って私の部屋の分厚いカーテンを開けようと四苦八苦しているが、『女』に開ける事は不可能なのだ。

この『女』はその事を一向に理解しようとしない。ネジは緩んでいるどころか、どこかに落としてきたのかもしれない。

「その腐った脳味噌を……いや腐るどころか灰になっているな、だが名前お前は天国に行けていないじゃあないか」





「私はここが天国なんだもん」

「……つまらん天国だな」

蒸し暑いカイロでの、ある一夜の事だった。