ジョースターさん話ばかりするワゴンとバーのママ
「貴方の話はそればっかりね」
マンハッタンの繁華街の片隅、あまり上品とはいえない酒場に通い続ける男は、初めて会ったときこそ酷い身なりだったが、今では上等な服を身につけており、どこかこの町から浮いている。
大抵は話題のニュースで始まり、仕事の話をしたあとは、ずっと男の話。
ジョナサン・ジョースターという男の一代記を延々と話ながら、飲む。
「その人、貴方と会って間もないうちに亡くなられたんでしょう?貴方が成功を掴んだこのアメリカ大陸より、ずうっと付き合いは短いでしょうに……よく口も乾かずしゃべり続けられるわね。凄いわぁ」
もちろん酒のスピードも早い。
にこにこと少年の様に笑いながらグラスを空けていく男は初老とは思えない。
前に『ロンドンじゃあその名をなんとやら』とか言っていたっけ。身体中にあるらしい傷が本当っぽさを濃くしている。
「…私、最近の貴方の話を聞きたいわ」
人情があって不器用な人のアメリカンドリームとかがね。
「つまらないかい?」
貴方は私が話をそらそうとすると、はぐれた仔犬みたいな顔していつもそう言うのね。
「……いいえ面白いわ、とっても」
貴方がその話をするときの顔が、とっても。
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