露伴ちゃんと幼馴染み
外は夏日で蝉の鳴き声が煩いけれど、この家の中は快適だ。彼の仕事がしやすいように出来ている豪邸だもの。
その主、机に向かう幼馴染みの背中からは不機嫌なオーラが発生し続けている
「岸辺君」
カリカリとペンを走らせる音だけが部屋に響く。
「岸辺君!!」
「ウルサイッ!ぼくに話し掛けるな、仕事中だ!!」
彼は怒っている様だが、私だって怒っている。
下の名前で呼べ、なんて前に言ってたけれど絶対に『露伴』なんて呼んでやらない。特に今日は。
「勝手に私あての電話に出て『苗字名前は夏風邪で寝てます』なあんて答えたそうじゃない、私の大学生活邪魔しないでよ!」
初めての夏休みに入ってから、露伴は私あての電話に出ては友達からの誘いを断り、私あての手紙を勝手に開封してゴミ箱に捨てる。
主に男性が関わる物は容赦なく私から遮断していた。
「久しぶりのサークルの会合のお誘いだったのに」
「キミみたいな不細工が行っても迷惑だろうと思ってね、親切だろう!」
酷い、そこまで言わなくてもいいじゃない。
「私が信用出来ないの?」
「信用も何も、名前のお気楽な脳ミソなんてお見通しさ。伊達に長年幼馴染みやってる訳じゃあない」
お見通しって言うけど、やましい事なんて何一つしていない。
「不満なら私を覗けばいいじゃない」
「嫌だね!」
スタンドを見ればなんだって見抜けるはずなのに、露伴は私にスタンドを使わない。
使わないくせにすぐ嫉妬して、ちょっとでも彼に内緒で何かしようとすると先手をうって邪魔をする。
「なんでよ〜!?」
「……そんな事をしなくても名前の事は全部わかってるからな!」
自信満々でドヤ顔を見せる露伴にムカついた。だったら信用しろよ!
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